確かなメロディー(弐)
□第五十一話 call you
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≪だったら今ので、桜にも伝わったんじゃない?≫
『……かもしれませんね。でも無理ですよ?』
≪なにが≫
『桜は、あなたの所に行こうだなんて思いませんよ、絶対に』
≪……どうして、そう言えるの?≫
私自身ですから、だなんて理由じゃ通じない。
そんな事でこの人は折れない。
“私”も……納得できない。
『私(桜)があなたに抱いたのは、愛じゃありませんでした。それは今も変わりません。でも静雄さんには変わった。どうしてかはまだ自覚できてないけど、“私”を変えてしまうくらい愛してしまった。それだけですよ』
………
返事は返ってこない。
でもこれが私達の答えだ。
でももちろん、
この人がそう簡単に諦める訳がないくらいわかってる。
それが折原臨也なのだと、わかっている。
≪だからって俺は、君の事諦めないから≫
ほらね……やっぱり
『どちらでもいいですよ、私達は気にしませんから。ただあなたが叶わぬとわかっていながら不幸を求めるだけです』
≪嫌味言ってるつもりみたいだけど褒め言葉として受け取らせてもらうよ≫
また向こうからクスクス笑うのがわかる。
この人には……やっぱり勝てそうにない
なら、これだけは言っておこう
『これは桜には伝えませんが、あなたに言っておきます。
桜はあなたをどう思っているはわかりませんが、あなたを野放しにするつもりはありません。もし暴走でもしたなら、“私”が制裁を入れます』
≪野放しって、すごい言われようだけど。別にいいよ。“君”に追われるならある意味本望だ≫
『……じゃあ、もう切ります』
携帯を耳から離して、ピッとボタンを押す。
古アパートの壁に背を預けてもたれながら、“私”は空を眺めた。
桜……
あなたはもう何も迷わず、静雄さんだけを愛して
臨也さん達の事は全部“私”が代わりに背負うから
それで、あなたが幸せになれるなら、
私はどんな汚れ仕事でも出来るよ
〜続く〜
((とにかく“桜”ちゃんをいい子にしたいだけ←オイ
そろそろ臨也さんも本格的に狂い始めてます(?)
次回、恋敵(ライバル)と対面(?)
by桜))