確かなメロディー(弐)
□第五十話 かつての…
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昼 池袋某所 古びたアパート前
「今回の取り立てはここだな」
『……また在りがちな場所ですね』
二日振りの最初の仕事は、ビデオを借りたまま返さず、延滞料が溜まりに溜まっている人の借金取り立て。
なんでも一日二百円ずつが、既に十五万円も溜まっているとか。
簡単に計算すれば……ざっと二年間ぐらい!?
「で、今回もあっちが断わってきたら無理矢理払わせればいいんですね」
「最悪の場合な。最悪」
『そうですよ静雄さん。できるだけ平和に平和に』
内容も内容で少し苛立っているのか、静雄さんは少し危ない発言だった。
トムさんも普通に返しちゃうから私も言えば、静雄さんは少し落ち着いたように一言返してくれた。
「しかし、桜ちゃんも何ともなく復帰できてよかったなー」
相手が住んでいる二階まで錆付いた階段を昇っていると、トムさんが私に言ってきた。
『はい。色々と迷惑おかけして申し訳ありませんでした…』
「いやいや気にするな。昨日は静雄だけで何かあったのかと思ったけど、今日はいつも以上に仲良さそうに出勤してくるし、ちゃんと仲直りできたんだな」
『っ………』
確かに……昨日は色々あった。
でも、まさかトムさんにそこまでバレてたとは思ってなかった。
……と言うか、
私今日そんなに仲良さそうだったのかな?
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