□標的165 XANXUS VS.Rasiel
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ほんのつい先程までベルやジル達による兄弟喧嘩を越えた惨劇が起きていた森の南方向


煙が今なおただようそこには、哀れな姿となったベルとフランが倒れていた。

どうみても死体にしか見えなかったが、しばらくしてそれはまるで砂のように細かく空に消え始めた。

それと同時に――



ズボッ ドボッ


「げほっ」

「ふー」



少し離れた地面から音がして穴が開き、そこからベルとフランが現れた。



「霧の幻覚か?」



地面に隠れていたとは言え完全に攻撃を避けきれなかったらしく、二人とも少なからず血は流れていた。

ベルに聞かれたフランは口に溜まった血を吐き出しながら当たりですと返した。



「ミー達目ん玉ボンッ! っとか飛び出して、相当スプラッタな死に様だったと思いますよ」

「てんめー……
戦えよっ!!」


ガキッ


「ゲロッ」



身代わりになった幻覚の事を話していると、ベルは思いっきりフランを蹴り飛ばす。

対して蹴り飛ばされたフランは実際先程の攻撃を受けてグロッキーになっていたと言い訳した。



「てめーが匣兵器ださねーからだろうが」

「ミーのせいですか?」

「ったりめーだろ!!」



ジルと戦えなかったのがよっぽど気に食わなかったのか、ベルは苛々しながらフランに食って掛かる。

それをわかっているのか、フランはまーいいですけどと話を変えてきた。



「正直、見てみたいと思ったのは確かですしー」

「?」

「怒りんぼのうちのボスですよ。
ヴァリアー内暴力すさまじいしいつも威張ってるけど、本当に強いのかなーって思うんですー」

「弱かったらオレがとっくに寝首かいてっての」

「でもセンパイのアホ兄貴とどっちが強いか見てみたいじゃないですかー」



フランの提案に、ベルは顎に手を添えて悩む。

そしてしばらくうなった後――



「同感♪」



満面の笑みを浮かべ、口の中に残っていたらしい砂粒を噛み砕いた。




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