確かなメロディー(弐)
□第四十七話 警告
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5月4日 夜 マクドナルド池袋東口店内
「それで? 結局何がどうなったんだ?」
「いや、俺もよくわからないんすけど……突然新羅の奴から電話があって、“もう疑いは晴れたみたいだから大丈夫だよ”って言ってきて……結局その後、街を歩いても何もなかったんで別にいいんですけどね」
少女に異変が起きている頃、
少女の彼氏と上司は、二人話し合っていた。
「ていうか、そもそもなんで粟楠会におっかけられてたんだ?」
「いや、それは言えないんですけどね」
「?」
「新羅が粟楠会と話をつけてくれたらしいんすけど、その条件が、俺達が見た物は一切他言しない……って事なんで」
「ふーん。まぁ、俺も巻き添えは御免だからな。深くは聞かねえよ」
深追いしてこないトムに、静雄は素直に頭を下げた。
そして、トムは思い出したように言う。
「あ。そう言えば桜ちゃんは? てっきり一緒なのかと思ったんだが」
「あぁ……桜、は……」
聞かれた側の静雄は少し俯く。
それだけでトムはだいたいの事情は理解できた。
二人には喧嘩か何かあったのだと。
「ほら。こんな所で迷ってんなら、さっさと行ってやれ」
「トムさん……」
「ちゃんと見つけて仲直りしろよ? 明日は今日の分も纏めて仕事に回るかんな」
「はい」
静雄は上司に感謝を思いつつ、店を出た。
少女と仲直りさえすれば、元通りの日常が戻ってくるはず。
だがその少女は今、
日常からどんどん離れていっているとも知らずに……
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