捧&戴&コラボ

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こいつはきっと好きになっちゃいけない奴だ


(気付いてたよ、ずっと前から)




きっとあいつは、いや、絶対

絶対、自分を愛してくれた人を幸せにしてやれない奴だ

自分の野望最優先、あんな奴を想った日にゃあ怪我してないか迷ってないか死んじゃあいないかストレスでこっちが死んじまう

か弱いレディには耐え難い苦悩を強いらせるに違いない

全く、なんてひでぇ男だ

サイテーだ、サイテーな野郎なんだ



『だからあいつは、恋人をつくらないんじゃねーか?』

よいよいよい、キッチンの床で膝を抱えてうずくまった俺の背中を撫でながら話を聞いてくれていたウソップがぽつりと漏らす

分かってたはずだ、そんなこと、俺だって

だから俺は、俺に好きになってはいけないと警告したのに

警告に従って、好きになどならなかったはずなのに

あいつから冷たい視線をぶつけられるたび

あいつの口から俺になど興味がないと言わんばかりの台詞を聞くたび

分かってるのに、分かってるのに


 
『あ〜あ〜もー、泣かないでくれよぉ』


ボロボロこぼれ落ちる奴は止まってくれない


分かってるのに、分かってるのに


(嫌われてることくらい)






その後俺はウソップを付き合わせてクソ剣士からぶんだくった酒を浴びるように飲んでやった

心配そうに見つめるウソップに奴への不満をぶつけてやる


『クソコック、めし。だぜ!?何だあの態度!俺ぁテメーの母親じゃないってーの!いや母親だったとしても失礼だぜっ』

ごきゅごきゅ飲んで、瓶が空になったからクソ剣士に内緒でもう1本あけてやった

『俺ばっかり意地悪言われてーっ!俺ばっかり怖い顔されてーっ!』

『おいおいサンジ、もうそのへんにしとけよ、顔真っ赤だぜ』

『うるさーい!今日は飲むんだ!黙ってツマミ作れーい!』

『俺がかよ!』


ウソップに絡んで騒いで泣いて…ふわふわふわふわ、うとうとと心地良い眠気が訪れる


『酒ーっ!!』

『いやもうやめとけって!』

机に突っ伏して散々ワガママ言って…

ほんと何してんのおれ

 
それもこれも全部あの剣士が悪いんだ

あいつが俺にばっかり冷たく当たるから、俺にばっかり酷いこと言うから…

ルフィやウソップとは笑い合ってるくせに、なんで

『何でおれ…きらわれちゃったんだろー』


おかしいな、そりゃー俺は初めからあいつにバンバン意見もしたけどさー、ムカついたら蹴りもしたけどさー

ルフィだったらもっとやったなこいつぅーって感じで楽しそうじゃん

何で俺だと怖い顔して睨むわけ?


何でそんなに嫌うわけ?わっかんねーよ俺はこーんなにお前のこと



(…おまえのこと−−?)


『まーさ、どんな喧嘩したのか知んねーけど、明日には街に着くんだ、買い物でもしてさ、ちょっと冷静になってみろよ』

『…うーん、そーさなぁー街なー、ナンパでもしよーかなー』

またそれか、って苦笑するウソップ

そのあたりからもう意識は途切れ途切れで後片付けしなきゃなーってぼんやり考えながらゆっくりと夢の世界へ旅立った


続く
 
 

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