捧&戴&コラボ

□こころ
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ドタバタと走り回るは我らがドクター

ドクターに包帯でミイラ男にされてるのはうちの剣士

面白がってちょっかいかけてる狙撃手と船長

少し離れたところから、それを見つめるコック(てゆか俺)

奴がみんなと楽しそうに笑うのをここから眺める


俺には絶対向けられない、こんなところから盗み見るようなマネをしないと見られない

ズキン、なんて、胸を痛ませていたり、なんて

どーしよーもねー、爆笑もんだ


(あいつはきっと、いや絶対、好きになってはいけない奴だ)

出会ったあの日から、とっくに分かってたはずなんだ








明日には街に着くとナミさんが話した日の夜、奴はいつものようにキッチンで飲んだくれていた

まったく探検するんだって早寝した3バカをちったあ見習えってんだ


夕食の皿洗いを済ませてタオルで手を拭いて…

うーん、このタオルも随分ぼろっちくなっちまったなー、お気に入りだったのに…

ガチャンと冷蔵庫を開けると中身チェック

明日街に出て買っておかなければならないものを書き出していく

前に寄った街からそれ程日が経っていないため食材はまだまだ余裕があるし荷物持ちは必要なさそうだ

肉や魚はまだまだあるし、調味料と卵…あと何か珍しいものが売っていないかなどを見回ったとしても一日あれば充分だろう

もし数日の間停泊するというのなら残りは船番を引き受け新しいレシピを考えるのもいい



 

なーんて、立派にコックとして働いてる俺の横でゴクゴクと水のように酒を飲み下す男

まだ飲むのかよと溜息を付いて奴のそばまでつかつかと歩み寄る

『おいゾロ、いい加減やめやがれ』

お前もさっさと寝てこいよと顔を向けると迷惑そうに睨みつけられる

何で、俺がそんな顔をされなきゃならんのだと思う

何で俺は、みんなみたいに笑ってもらえねーんだと思う

その度に、俺ん中で自業自得だろって声がしてわけ分かんねーくらい胸がぐるぐる気持ち悪いから無意識に考えないようにする

そんな狡い術を使わないと、奴の顔すらまともに見られない


『俺の勝手だろーが』

口出ししてんじゃねえとそれはもうおっしゃる通り好き勝手ほざく奴にはもちろんいらつきだってする

『ふざけんな、てめーこないだチョッパーの世話んなったばっかだろうが、酒は控えろと言われたはずだ』

『てめーにゃ関係ねえ』


なんて酷い言葉、おもしれー、俺の心、オモチャみてえ

あいつの言葉一つでズキンて揺れてぐらんぐらん気持ち悪い

いったん電池抜いていいですか?なんて、バカみたいだ


『とにかく!明日酒を買う予定はねえ、てめーにガパガパ飲まれっと困るっつってんだよ!』

ちょっと気が弱ってる、それを気付かれてたまるかと声を張り上げコップも使わず直でいってやがった酒瓶を取り上げる

生意気にも気分を害したのかギンと睨みつけてくるゾロを負けじと睨み返した(慣れっこ慣れっこ、悲しくない)


『なんだよ、やんのか』

いつも通り、いつも通りだ


だが奴は面倒臭そうに溜息をついて立ち上がる

『もういい、お前の相手は疲れる』



 



言葉が出ない、憎まれ口の一つも




(オモチャが壊れました、持ち主のいうことを聞いてくれません)

(今すぐ電池を抜いてください、オモチャが暴走しそうです)

瞬きを我慢した、その拍子に何かが落っこちたら嫌だったから

呼吸をするのを我慢した、その拍子に震えた声が出たら嫌だったから

何も言わず酒瓶をもどす俺に小さく舌打ち、奴はキッチンから出て行った



何も、悲しむことなんてない

やっと出て行ったんだ…清々してる

嫌われてることだって知ってたし、そんな奴の相手は疲れるに決まってる

当たり前だ、普通だ、普通のことだ


あーもー考えんなあいつのことなんて、どうだっていいじゃないか…

そう思っているのに重みに耐え切れなくなった奴がこぼれ落ちて、アスファルトに打たれた雨のように床の上へポタっと渇いた音を立てる


『サンジー、まだ起きてんのか?喉が渇いちまったから水を−……サンジ?』

ひょっこりとやって来たウソップ

返事ができない、わけが分からない

俺の様子を伺いに来たウソップが目の前で困った顔をする

『どうしたサンジ?何で泣いてんだよ』


目頭が熱い、頭が痛い、俺が聞きたい何なんだこれは


我慢しきれずひくっと鳴った喉、それをきっかけにボロボロと溢れ出す奴

袖で奴を拭い取ってくれるウソップの胸に顔を押し付けた



(ほんとうに、オモチャだったらよかったのに)




続く.


 
 

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