にゃんこ文

□C
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まだ止まない雨の中、今日二度目の訪問をした俺の姿を見てウソップは目を見開いた

どうした、何があった、そいつは何なんだ

聞きたいことは山ほどあったろうが今一番にしなくてはならないのはそんなことではないと判断してくれたのであろう
何も聞かず俺を家の中に入れ猫人間をベッドまで運ぶと濡れた服を脱がしていく

怪我をしているのは明らかだ

慎重に慎重に対応してくれた

俺が来たことに嬉しそうな顔をしていたルフィだったが俺と一緒にやって来た猫人間を見て、喜んでいる場合じゃないと思ったのか…ウソップに言われる前にタオルと自分の服を運んで来ていた

『ウソップ、俺の服そいつに貸して』

『おうサンキュなルフィ、後チョッパーに連絡して今から行くって伝えてくれ』

『わかった』

ウソップに言われすぐさまどこかへ電話をするルフィ

頭がよく判断力に優れているウソップとベストパートナーのルフィを見てやはりここに連れてきて正解だったと小さく息を吐いた

『おいゾロ、お前も着替えろよ…俺の服で悪りぃけど適当に着ててくれ』

『ああ、すまねぇな』


濡れた服を脱ぎ少しきついがウソップのスウェットを借りて邪魔にならないところから様子を見ていた


 

優しく身体を拭いてルフィの服を着せて、押し入れから引っ張り出してきた毛布で震える身体を包んでいく

『…どうだ?』

『取り合えずあったかくはしてやれても怪我は治してやれねーからな…今から病院に行く』

『病院?』


『俺は先に出て入口に車止めてるから、お前はこいつおぶって来てくれ、ルフィはこいつが濡れないようにゾロの手伝いしてくれな』

『おう!』


そう言い残すとルフィに家の鍵を預け慌ただしく飛び出していった





『ゾロ!ゆっくりだぞ!』

『おぉ』


言われた通り毛布に包まれたこいつを背負い家を出る

ルフィも横から傘をさし雨が猫人間にかからないようにしてくれた

時折苦しそうに息を吐く猫人間に何度も大丈夫だぞ、すぐに治してやるからなと頻りに声をかけてくれている


アパートを出たところにウソップの乗った車は到着していて俺達も急いで中に乗り込んだ

横たわらせた猫人間を心配そうに覗き込むルフィ

あまり振動を与えないように、車はゆっくりと動き出した


『は…っ…ふ…ぅ?』

うなされながら、ゆっくりと目を開いた猫人間

ちらりと俺と目が合うがもう威嚇する力さえ残っていないようだ

『気がついたか?大丈夫だぞ、すぐ病院行って治してもらえるからな』

ぶわりと苦しそうに汗ばむ額を優しく拭いながら話しかけるルフィをじっと見つめる猫人間



 

『俺はルフィって言うんだ!待ってろよ、すぐに痛いの治してやるから』

『…る…ひ…?』

『ああ!俺はルフィ!好きなものは肉だ!お前の名前は?好きな食べ物は?いっぱい聞きたいことはあるんだ!だから早くよくなって、俺と友達になろう!』

まるでお日さんみてぇに明るいルフィの笑顔

不思議そうにぽんやりと猫人間は見つめていた

その後すぐにまた瞳を閉じてしまったこいつを、ルフィは何度も何度も撫でていた


『…これ、人間にやられたのかな…』

『…かもな』

いつもより少し低い声

先ほどまでの太陽のような笑顔とは打って変わり眉間にシワを寄せその瞳には明らかな怒りが込められていた

初めて見るルフィの表情にゾクリとする

ミラーから盗み見たウソップの顔も険しく歪められていた



 

『俺、人間嫌いだ…ウソップやゾロやロビンは好きだけど…やっぱり…人間…嫌いだ』

拗ねた幼子のように呟くルフィ

だがその言葉は消して小さな子供の軽口などではなくて…

きっとそれは今まで俺が感心など持たなかった…考えようとすらしなかった部分


すっかりと憎しみの色をした瞳に変わってしまった今のルフィには…一体何が見えているというのか

始めから敵視し恐怖に泣き叫んだこいつには一体…何が見えていたというのだろう



end


 
 

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