めいん
□使えない助手はイイやつ(?)だ
1ページ/4ページ
探偵事務所、入口前。
「洋、居るか?」
ドア越しに声をかけるとガチャリと扉が開いた。
「お、おお〜、荻じゃねーか…さ、中、は、どうぞ」
アハハとひきつった笑みを浮かべる洋。
何かあったのか?
とりあえず家の中に入りソファーに座る。
テーブルには飲みかけのスープ。
「洋、このスープ、お前が作ったのか?」
洋は何故か言葉に詰まっていた。
多分、洋が作ったんだろう。
味見、味見♪
俺はスープ皿を持ち上げて一口飲んでみた。
「うまいけど少し苦いな…」
俺は感想を漏らしながら全て飲み干した。
「あ、荻!飲むな!」
「いいだろ、また作れば」
「違う、それ作ったの俺じゃない!
優太か圭だ」
なんだ。
作ったの洋じゃないのか。
洋の言葉でここに来る前の事を思い出した。
「さっき助手に会った。無視されたがな」
洋は一瞬硬直してからまた先程と同じ、ひきつった笑みを浮かべた。
「どうしたんだろうな、圭」
「洋もわからないのか?」
「…ああ。
それよりどうした?用事があって来たんだろ」
そうだった。
忘れてた。
「それがカバンに入れてたはずの薬が無くてな。一錠でも飲むと大量に酒を飲んだ状態になる恐ろしい薬だ。
ここに落としてきたのかと思ったんだが…」
「見てないぞ。探すか」
「…処分する予定だったから人が飲まなきゃ大丈夫だ、見つけたら捨ててくれ」
「わかった。
せっかくだし、ゆっくりして行かない?今コーヒー作るから」
洋が台所に立つ。
俺は洋の言葉に甘えてもう少しだけ居ることにした。