めいん

□お願い
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うっすらと白く、本当に少しだけ、足跡が付くぐらい積もった雪。
コンクリートは白だけど
公園や家の庭なんかは緑の上にトッピングされた粉砂糖のような雪。

積もるかもしれないと期待できるほどでは無いけれど、
ふわふわと緩く降る雪と吐く度に真っ白な吐息。

僕は一人で、冷たい身体を縮こませてある場所を目指していた。




「うわっ」

ストンという効果音と共に声をあげる。
隣でクスクスと笑う可愛い悪魔。

「あれ、圭くんどうしたの?
そんな所で尻餅ついて。え、もしかして転んだの?滑ったの?ダサいよ圭くん。まだ滑るには早いよ。雪これしかないのに」

恥ずかしさと寒さで顔を赤くしながら立ちあがろうとした俺に優太くんが
「仕方ないなぁー」と
頬を膨らませて
目線を外して
そっと手を差し延べた。
「あ、ありがと」

その手を握って立ち上がる。

バチリとぶつかった視線と静止したまま動かない…動けない二人。

「…」



『…見ちゃった』
突然聞こえたその声に視線を向ければ声の主が現れる。

「因幡遥!何でここに…?」

「大丈夫。僕はにーにしか興味ないから。
またあとでね」

そっけない返事をして遥は去ってしまう。

「…質問に答えろよ!」

圭の声が音も無く降る白の中に響き渡った。


依頼こねーな。

そんなことを思っていると丁度良く扉が開かれ、弟がひょっこりと顔を出した。


「にーに、遊びに来たよー!!」

買い物に行ったばかりの助手達が忘れ物でもして戻ってきたのかと思ったら滅多に会えない可愛い客人。

「遥!久しぶりだなー。元気だったか?」

洋は遥に駆け寄って頭をくしゃくしゃと撫でてやる。

「うん。にーにの顔見たら元気になった」

「そうかそうか!
良かった」

話しながら歩みよったソファーに腰かけ顔を見合わせる。

ニコリと優しい眼差しをおくる洋に
遥は柔らかい笑みを浮かべ手を重ねる。

「今日はね、にーににお願いがあって来たんだ」
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