不二誕企画

□捧
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「ふ、不二!!」

「あれ、謙也くん?どうしたの?」

「は、ははは、はハッピーバレンタイン!!!!!」

「…え?」



空気が凍るとはこういうことなのだろうか。
お互い固まっている。

そして数秒間、微動だにしなかった2人にやっと時間が戻ってきた。



「うわあああああああやらかした!!
ちゃうねんちゃうねん!
ごっつカッコ悪・・・あんな練習したんに・・・!」



一応いっておこう。
道のど真ん中に彼らはいる。
そしてこんな叫び声。
誰が素通りするだろうか。
道行く人たちは皆、好奇の目を彼らに向けている。



(恥ずかしすぎる…!
完全に彼が悪いのになんで僕までこんな視線を向けられなきゃならないんだ…!!)



「とりあえず来て!!」



腕を掴み、不二は走り出す。
全力疾走。

ここまで来れば、さきほどの事故に遭遇した人はいないだろう。
人は足を止め、乱れた息を整える。



「はぁ…ッなん、で、ここにいるの…っ?」

「そ、それは、不二が…」

「僕、が…?」

「誕生日や、って聞い、て…っ」

「え?」

「やから、直接おめでとう、て言いたくてな…」

「そう、だったの」

「それなのに…俺…サイアクや…」

「くすっ、落ち込まないでよ謙也くん。
祝ってくれるんでしょ?
そんな顔されてたら、嬉しくないよ」

「!!…す、すまん!
そや、これ…プレゼント」

「ありがとう、今日は一生忘れられない日になるよ」

「っ!!」









そして僕に愛をげて

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