私とかみさま

□第一話 私とかみさま
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寄り道なんてせずにすぐに家に帰れば良かった。

そんな後悔ばかりが、頭をよぎる。そうすれば、最近巷を騒がしている純魔族に出くわさず、襲われることもなかったのに。私は、迫り来る死に眼を閉じることも出来ず、腰が抜けたせいで逃げることも叶わず、ただ、怯えることしか出来ない。




赤。




どす黒い鮮血は私から出たものではなく、魔族のものだった。あたかもヒーローのごとく瞬時に現れ、私に伸びていた手を、日本刀で切り落とした男の人。綺麗な金糸のような短髪が彼の動きに合わせさらりと揺れる。鈍い光を放つ日本刀を手慣れたように構える姿は様になっており、ひどく美麗。


彼は人間ではない、特別な存在なのだと、私は自然と悟った。


そう、さながら――神の、ような。


魔族が鮮血を飛び散らせなにやら耳を塞ぎたくなるほどの奇声を発した。
それでも彼は一切物怖じせず、魔族に斬りかかってゆく。私は、ひどく凄惨な情景であるにも関わらず、食い入るようにその男の人を見つめていた。彼から、目を離さない、離せない。私はまさしく彼に魅せられたのだ。



純血の天使、続さんに。

 
 
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