『指標』
「あの」でも「そこの人」でもなく
自分を呼ばれるということ。
気付きもしなかった。
知る者がいない地では
自分だけが己たる『指標』なのだと。
呼ばれる度に、自分を知らずに省みていたことに。
「オオドリ君っ!」
赤い瞳が真っ直ぐに、見てくる。
「どうした?リュー」
呼び返す。
何気ない、けれど、大切な やり取り。
*
T-1 謎を深める件
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