第三部
□V-7.王の証を探す件
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「離れてもずっと好き」と
身体中が伝え続けると。
だから大丈夫だと、
伯母は 伝えようとして叶わず
僕に託した。
「…? 何か言った?ゆーちゃん」
従妹が呼ばれたように目を開け、すりすりと腕に頭を寄せる。
寝ぼけ眼ですら愛らしい。
「…当ててみな?」
「分かるわけないじゃーん…」
むにゃむにゃと呟く。まだ、半分夢の中だ。
「そうか…?
いつも想ってることだよ。」
離れているときも、こうして腕の中に捕まえているときも、ずっと。
彼女がどんな『大罪』を犯そうとも。
離れる時間が何を意味するのか目を塞ぎ。
そこは魔族的な思考に都合よく依って。
予感ごと、抱きしめる。
「生まれてきてくれてありがとう。
『君の存在を喜ぶ
君の存在を寿ほぐ
君が幸せのうちに
いられますように』」
かつて読んだ詩を、秘めつつ引用する。