第三部

□V-2.呪われた身を告げる件
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「大丈夫?
…ねぇ、みんな旅はどのくらいしてるの?あたしは…2年くらいかな?早いナー」
「私は…1年半かな。その前にも王の随行ずいこうで期間の決まった旅というのは、
何度かしたがな。」
「今は?」
「無期限の暇をもらっている。」
「そうなんだ。早く戻れるといいね。あーちゃんは?」
「ひみつV」
良いに青ざめつつも、人さし指を唇にあててみせる。
可愛いらしさに、けらけらと腹を抱えて笑った。
「いい女には秘密も大事だもんね!」
カイ一人が元気だ。カイは笑いを苦笑に変えて、一同は休息のため茶店に入った。

「いらっしゃいませー。
あ、うわぁ、久しぶりだなぁ。元気に仲良くやってたかい?」
年若いウェイターが、カイに嬉しそうに声をかける。
「は?」
カイは目を点にしてウェイターを見つめる。が、誰だか思い当たらない様子だ。
「ひどいなー。忘れちまった?ま、しょうがないか」
店の制服とエプロンをつまみ上げる。
「えーと、何だっけ、そう、アントリアェ!」
カイとアシェスがケンカした森だ。ということは必然的に
「ああ! 分かった。見違えたわねー!」
弾けるように笑い、少年もまた嬉しそうに笑った。
そして胸元から紐ひもにつないだ銀の指輪を取り出す。
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