第三部

□V-1.吟遊詩人の加わる件
1ページ/20ページ



 不思議な程静かで、明るい場所。
 オオドリはそこを何処とも意識せず、椅子に腰掛けた。
目の前には、当たり前のようにリューが座っている。
彼女が何か話しているが、よく聞き取れない。
オオドリはそれは聞き流し、今まで抱いていた疑問を口にした。
「リューは、何者だ?」
目の前の少女は目を見開き、すぐに微笑んだ。
いつもよりやわらかい声を紡ぐ。
「アルファ・リュンキス。私は………」
またもよく聞き取れない。
口の動きを見ようと意識した瞬間、気付く。
少女の姿が少しずつ変化していた。

「これが、本来の………」




「の わああああァっっっ!!」
 自分の悲鳴で、オオドリは飛び起きた。
息を整え、シーツを握ろうとした手が、やわらかいものに触れる。
「ん〜」
リューが長くのどを鳴らし、寝返りを打った。
長い髪がベッドいっぱいに広がる。
「…………」
しばらくぼんやりとリューの寝顔を眺めていたオオドリ。
「!!!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ