第三部

□Episodion
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 Episodion
〜中継ぎの言葉〜   


オオドリとリューは、オオドリの呪いを解けると思われる賢者…魔法使いを捜して、旅をしていた。
高く澄んだ空の下、畑に黄金色の麦が実る道を通り抜け、
豊かに実った果物を積んだ馬車に追い抜かれながら旅をした。
そして今、豊穣を祝う秋祭りで賑わう街の中に二人はいた。

「うわー、人がいっぱいだねぇ」
「祭りにぶつかってしまったのだな」
不満そうなオオドリの声に、リューは首を傾げる。
「人が沢山いた方が、情報とか聞きやすくない?」
「その点は好都合だが、何だか、嫌な感じがする…」
「あーちゃんは別に、しないよう?」
「…ならば、大丈夫か…」
カンの良い相方の言葉に、オオドリは警戒を解く。
彼女と自分の障さわりとすることの差を忘れて。


 祭りの賑わいの中で、二人は、探している魔法使いの特徴を伝え、心当たりがないか聞いて回った。
けれど、望む答えを得ないまま夕刻近くになる。

「大国は一日にしてならずぅ」

 疲れて、公園の椅子に座り込むリュー。
その手には祭りならではのオモチャやお菓子が握られている。
オオドリはちょっと空むなしい気持ちでそれを見、リューにしては
脇道にそれるのを我慢してた方か、と溜息をつく。
人通りは未いまだ衰えない。
せいぜい、小さな子どもの姿が見えなくなった程度だ。
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