番外編
□神々の諸事情
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冷気 あたたかい女 青目に赤毛の部族
春を売る一団の生活
幼い体を求める 男 男 男 男 …
一団は兵隊について移動 夜の奇襲。
空気を裂く音 炎 悲鳴 男からこぼれた血
熱さ 笑う影 痛み
視界がふさがるほどの 光 ………
魔王に引き出せる記憶はそこまでだった。
「何であの野郎はこんな女を選ぶんだ」
目の前の女の経験は決して善いものではない。善い…
「チッ。いつの間にか神族かぶれしてたな。野郎は腐っても<統治>の神ってことか」
毒づき、女の頭から手を離した。善い悪いではなく、
「起こる」と決められるから事は起こるのだ。善いと評される事だけが起こると決まるのではない。
女は魔王を見る。間が持たなくなった魔王は、
「リーク」
と側近を呼び出す。
「何か、変わったことはないか」
「…若君が泣きやまず、宮女が困惑しておりますが」
「…早く連れていけ」
「御意」
側近は女を抱き上げるとサッと風のように魔王の前から消える。
魔王は何故か居心地の悪さを感じ、別の界へ遊びに行った。
「よう。両性具有」
「ボレアーリス。その挨拶はひどいんじゃない?」
精霊界の主は眉を寄せて抗議する。
「事実だろ」
「呼び名にする必要はないのよ。
ところで奥方を迎えたんだって?子どもも生ませて。もういつでも死ねるわね」