番外編

□放浪詩人の日記
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放浪(さすらい)詩人の日記(一部抜粋)


星の月/勇者の日

 林業中心の小さな村に立ち寄る
 村人は気前がよく、けっこうなチップをもらった。
雑談や自慢話の中、特に魅かれた話は、つぶらな瞳の男が語ったものだった。
男が木を切った帰り、ツタがどこからともなく伸びてきて、人の顔になり、妙な言葉を発して実を結び、逃げた。
男が気がつくと、牛男になっていたそうだ。…牛男と言えばミノタウロスが有名だが、彼の場合、
ミノのイメージより可愛いかったろうなぁ。
さて。
林から戻った男を本物の魔物と思った村人は彼を攻撃しようとしたが、そこに魔法使いが現われた。
一瞬、ツタを森に放った悪の魔法使いかと期待したが村の近くに住む魔法使いで、買物帰りに通りがかったのだそうだ。
 魔法使いは黒髪に青目の美しい青年だったそうだ。
その見た目のよさによくサービスしていた婦人が言うには、昔ながらの料理に使う材料をよく購入していたそうだ。
…若いのは見た目だけで、実は百歳を過ぎていた、という話だったら面白いのになぁ。
それはともかく、この魔法使い、牛男の瞳を覗き、ツタが発したのと似た言葉を呟くと、牛男を人間に戻してしまったのだ!
 今日日(きょうび)の魔術師は小さな魔術を使うのに、やれ魔法陣だ・それ護符だと色々なものに頼らなけりゃ
ならないのが多いというのに。
呪文だけで解いてしまうのだからすごい。その場面については多くの証人がいるから、本当の事なんだろう。
しかも、男が礼をしようとしても辞し、後日男が館を訪問しようとしたら館ごと引っ越し、館跡には新芽。
訳有りだろうけど、かなり強い<恩恵>を受けてる魔法使いなんだろうなぁ。


水の月/白牛の日

 某商業都市
 休憩中、隣で小物屋を開いていた男に東の小さな村で、森での作業中、不思議なツタに呪われて魔物に
なったが魔法使いのおかげで元に戻れた、という話をする。
おとぎ話の一つという感じできいていた。やっぱり、おとぎ話か?
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