第四部

□精霊の祝福
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(…このリハビリのマッサージだって痛いだろうに。)
忍耐強いな、と思いはしても、それを本人に言う気はない。死んでも。意地でも。
「あと…親戚には、結構いたのだが。200台に乗る者も。男は低くても、170だな。
…母も、175と女性としては背の高いのを自慢にしていたし…ああ、書簡を出さなければ…」
母という言葉にオオドリが呟く。カイの手が少しだけぎこちなくなる。
「オードのお母さんなら、相当美人だろうね」
「…美人というのだろうか。顔は似てるとは言われていたが。あと『強烈』と、よく言われていた。」
「それは…多分『美人』。オードは『清冽』って感じだけど。」
うんうんとうなずく。
「そうなのか…。…カイやユプシロン殿の方が…人に好かれそうな気がする。…っ。」
ボトッと不意に預けていた腕を落とされ、息を詰める。
「ご、めん、ね。」
リューは慌てて持ち直し、さすさすと撫でた後、再びマッサージを行う。
「………」
(3,2,1…)
「リューも、」
今までだと『あーちゃんは?!』と抗議してくる状況だと自ら気付き、言い足すが、その後が続かない。
それでも嬉しそうに、リューは照れ笑いした。
カイはつねりかけた指をマッサージの形に戻す。
「けっ」
ユプシロンが、より強張っている箇所を選んでほぐすが、オオドリは呻きもしない。
敵意の合図が、分かってきたので、不意でなければ、ある程度は耐えやすい。
そうだ、『敵意』だ。
グリフィンの頃には困惑するばかりだったが。人間に戻って細かな感じ方を思い出す。
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