第四部

□精霊の祝福
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「…七日も経って、もう大丈夫そうだから言うが、お前の体が、本当に呪い前のものと全く同じなのかは
俺にも分からん。」
「!?」
衝撃の告白に、動揺するオオドリ。
「召喚、報酬、条件、姿喰いの探索、引っぱり出し、巻き戻し、破砕、お前の姿の復元、修復、補強、保全、
回復、活性化…大事をとってかなり、術を重ねたからな。
今のところ、人間らしくはあるが。『再構成』『復元』の『結合』…繋ぎが悪くていきなりばらけたり、
溶け出す可能性も…0では無かったんだが。まぁ、力ある、腕のいい俺たちに感謝しろ!」
「…心から。」
味あわずに済んだ不穏な可能性に、オオドリが鳥肌を立てる。
「…ふん。様子見に、アールをずっと、お前に付けといただろうが」
最悪、リューなら、さらに力ある存在…エータに、救命を依頼できる。
助けない、とは言ったが、『助けられない』とは言っていなかった。
…代償は、リューにもユプシロンにも大きすぎるが。
「もう少し…三週間くらいは付けてやるよ。念のため。ただし、無用に触るなよ…!」
リューが口を三角にしてユプシロンをじと目に見やる。
どちらかというと、ユプシロンの方が、ことあるごとにリューを捕まえている。
抗議の視線は受け流し、
「まったく。無駄に図体のでかい奴め」
「無駄じゃないよ!」
「あははははー。体の特徴は仕方ないでしょう。ユプシロンさんもけっこう背、高いのに」
「いや。身長と体重は遺伝の他に発育期の食事と運動が影響する。
190cmの81kg。何を食ったら、こんなにでかくなるんだ」
「………」
いつの間に計られたのだろう。記憶通りの数値に驚くが、嫌味にも真面目に答える。
「小姓時代はよく野営地にいて、わりと質素だったが。以前出したような物を」
ゆで卵、干し肉、具のないスープ。堅焼きの無発酵パン。塩で ゆがいただけの野菜、果実。
まずくはないが、超絶にシンプルなメニュー。まずくはないが、三食七日続けばぶち切れたくなる。
それを。
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