第三部
□Ex.α 花嫁の夢
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塔の最上階の静かな部屋。
薄い紗しゃのかかるベッドの中にいると、昔に戻ったような感覚がする。
望みは薄く、夢は変わらず、うなされて目を覚ませば静寂が襲いくる日々。
耐えきれずに、窓を開ければ、ユプシロンがつけた燈ともしが、独りではないと証した。
…この塔に住み始めた頃は、毎晩のように、下から、見上げていた。
私が窓から落ちないか。
昼間に会えば「心配性だからね」と笑っていたけれど、暗闇の中、
燈火を持つユプシロンは本当に、心配そうで。
だから、ちゃんと、部屋に戻った。
不老の体でも、ここから落ちれば終わるという刃想いは鞘に収めて…。
薄闇の中
記憶が昔に返る。
あまりに繰り返しすぎて
ときに現在を凌駕した
呪わしい 夢