やばいやばいやばい!


左右に注意しながらも全力でペダルをこぐ。


チラリと腕時計を確認すると、門が閉まるまであと5分。


・・・・・よし、間に合う。


踏切に捕まることなく無事通過し、学校まであと少し!


よかった、どうやら間に合ったらしいな。




そう安心した瞬間。





「あ〜れんっ」

「うわッッ!!」



急ブレーキをかけたけど、もう遅くて。


かなりのスピードを出していたであろう自転車は僕とともにぶっ飛んだ。


思いっきり地面に尻餅をつく。



「いたたたた・・・・・」



顔を上げると、予想通り君の姿が。


まったく・・・・痛くないのかな。



「アレンーおはよー」



僕に体当たりしてきた当の本人は、僕とぶつかったとは思えないくらい涼しい顔をしていた。


その笑顔に一瞬あっけに取られる。



「な・・・・なにか僕に用ですか?っていうか普通に止めてください」

「ううん、用なんてないよ。ただ・・・・・」

「?」




「アレンの顔が見たくなっちゃって」




その言葉に、その笑顔に。


悔しいけど、確実に僕の顔は赤くなってしまったのだろうな。



「じゃ、またね〜」



君はひらひらと手を振ると、僕に背を向けた。


歩くたびにスカートの裾のレースが揺れる。


そんな神秘的な光景に見惚れているのに気づいてか、君は数歩先で立ち止まった。


振り返られ一瞬どきっとする。


そして、彼女の口が開かれた。



「アレン、そんなところで座ってたら、学校遅刻しちゃうよ?」

「へ?・・・・・・・・・・あ!!」



時既に遅し。


無残にもチャイムが辺りに鳴り響いた。









「馬にはねられて遅刻しました」
そう、彼女という名のじゃじゃ馬に





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