飲みにやってきました。




「で、何で私が坂田さんの飲み会に参加しなければならないんですか」

「誘ってもらえただけありがたいと思え。お前只でさえ人との付き合いが近所で孤立してるジジィ並みに薄っぺらいんだからよぉ。そんなこと言ってっと本気で誰からも相手にされなくなるぞ」

「大きなお世話ですよ。私が言いたいのはそういうんじゃなくて、いつもの面子(万事屋メンバー)でくればいいじゃないですかって言ってんですよ」

「馬鹿野郎、お前ここは酒屋だぞ。ガキ共が居たんじゃこんなとこ来れねぇんだよ」

「すいません私一応未成年なんですけど」

「大丈夫だって、お前あいつらより誤摩化し効くからよ。ちっと前にひと騒ぎしちまって新しい客連れて来ねぇと入れてもらえねぇんだよ」

「前にもそんなことありましたよね。というか、そういうことなら他の人を当たればいいじゃないですか。坂田さん知り合い沢山いますよね?長谷川さんとか、長谷川さんとか」

「お前、あんなマダオを連れて来たところで俺の信用が取り戻せると思ってんの?俺が飲み屋の立場だったら胡散臭ぇ男がまるで駄目なオッサン連れて来たらなにかやらかす前に問答無用で追い出すぞ。だから今回は飲み屋の伊呂波も知らねぇ、カウンターの隅で烏龍茶チビチビ飲みながら適当に酔っぱらい共の相手をした後、帰りには酔った俺を万事屋まで確実に送り届けてくれる若い娘のお前が適役だと思ったんだ」

「坂田さんの中で私はそういうイメージなんですか。つーかそういうダシに私を使わないで下さいよ」

「何言ってんだ。お前は今日俺のおごりで飲みに来てんだから文句言われる謂れは無ぇ」

「まぁ、そうなんですけどね」

「なんだその疑いの眼差しは。言いたい事があるなら口で言え」

「いや、別に言いたい事はこれといって思い浮かばないんですけど、何か珍しすぎて気持ち悪い」

「何で俺の親切はお前に届かないんだ。いつもいつも何か良い事すれば気持ち悪がりやがって。そんなんだからお前は友達居ねぇんだよ」

「その友達の居ない私を飲み屋に誘う坂田さんも相当終わってると思いますよ。というかいつもいつもアンタは私に友達居ないって言ってますけどアンタも大概碌な友達居ませんからね。桂さんとか、坂本さんとか」

「あんな危ねぇ長髪と人の名前間違えるようなもじゃもじゃは友達でも何でもねぇよ。大体友達ってのは俺がいつも一緒に居て気分害さない奴の事を言うんだ。だがあいつらは居るだけで気分悪くなる。吐きそうになる」

「坂田さん酷いですよ。確かにあの人達は疫病神ですが、そんなこと言ってると私以上に孤立しますよ」

「つーかもういいだろ、とっとと入るぞ」

「(先延ばしもここまでか)へーい」



がらら


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