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春は花粉の季節です。
「ぶぇっくしょい!!」
「随分と色気のいの字も見当たらねぇくしゃみだったなぁおい。年頃の娘とは思えねぇな」
「うるさいですよ。じゃあ逆に聞きますけど色気のいの字が見当たるくしゃみってどんなのですか」
「それはなぁ、なんかこう、男からみてトキメキ的なものを感じるようなくしゃみだ」
「だからそれがどんなのか聞いてんじゃないですか。しかも坂田さんからトキメキとか輝いた台詞がこんな所で出て来るとは思いませんでしたよ」
「お前なぁ、いつでも俺の目が死んでると思ったら大間違いだからな。俺だって輝き満ちあふれる時くらいある」
「目が死んでるのに輝くって、只単に天使が迎えに来ただけじゃないですか。何か某大型犬の名作的な感じに。きっとそろそろ坂田さんの目持っていかれますよ」
「持っていかれてたまるか。つーか前から思ってたけどお前って一番常識人ぶってるけど大概馬鹿だよな」
「あ、今物凄い勢いで私の心が傷つきました。星が一つ消える勢いで傷つきました」
「どんだけダメージでけぇんだよ」
「坂田さん知ってます?言葉はどんな刃物よりも鋭い出刃包丁なんですよ?」
「じゃあ俺はお前という名の出刃包丁に毎度毎度殺人未遂されてんだな」
「いやだなぁ人聞きの悪い。坂田さんの心はとっくの昔にお陀仏になってますからいくら刺したって同じ事なんですよ」
「ほらまた!!この娘はまたこうやって人を傷つける!!」