空光§月風3
□‡最終章‡扉の向こうへ
2ページ/13ページ
**********************************************
美祢【うそ…】
秋と二学期が終わり…
街はすっかりクリスマスムードで
珍しく都会に雪が降る12月
いつもの公園で彼に告げられたら言葉
“もう会えない"
その言葉に、私はまた…闇に飲み込まれる気がした
美祢【ど…して…】
<ビシッ>
美祢【ッ〜】
彼のデコピンにうずくまり涙を浮かべる
【お前が呆けて変な顔してっから悪いんだ】
美祢【だって!!…だって】
痛さなのか、悲しみなのか分からない涙がポロポロと流れてきた
【ハァ……ほら】
スッ…と差し出された手は、初めて合った時を思い出させながらも
その手を掴めば引っ張られ立たされた
そして…彼は何かをポケットから取り出して私に差し出した
【やる…】
美祢【へ?】
だから“泣くな"と差し出されたのは蝶の形をした髪留め
とても綺麗な“銀色の蝶"
所々に小さな宝石が埋められているし見るからに…
高価な物だと分かる
【それお袋の形見なんだけどな…】
美祢【Σえぇ!!そんな大切な物を受け取れない;;;!!】
【いーんだ!!】
美祢【!!】
【俺がお前にソレを渡したいと思ったんだから(微笑)お前は素直に受け取れ】
そして…会えない理由を
“聞かないでくれと"
優しく微笑まれて言われれば断れず反則だと思いながらも
…仕方なく頷いた
美祢【…わかった】
私は髪留めを…ギュウと握りしめる
優しく。でもしっかりと…
美祢【大切にするね…】
…理由は聞かない…
彼が言いたくないなら…
我慢するしかない
美祢【ッ…――君…わたし、ね…――君が好きだよ】
でも やっぱり寂しい悲しいから
これだけは言いたかった
私は彼が 好きだから
彼は私にとって光であり
闇から救ってくれた王子様だった
彼と過ごした時間は短かったけど
この気持ちだけは…彼に覚えておいて欲しい
私を忘れないでほしいから!!
<スッ>
美祢【!!】
返事の代わりにスッと伸びてきた腕は…私の頭を優しく撫でてくれた
【勘……だけど、俺とお前はきっとまた会える】
・