作品展示場
□この感情を何と呼ぶのか
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「先生、好きだ」
ある日、保健室で自分に告げられた言葉に、逸人は首を傾げた。
別に言葉自体はおかしかった訳じゃない。
ただ、それを発した人物が思いもよらなかった相手なだけだ。
「えっ…と、藤くん?それは僕に言ったんだよね?」
「当たり前だろ。アンタと俺以外の誰がいるんだよ」
藤は逸人の反応に、不満そうに眉をひそめる。
保健室の常連の藤は学校一のイケメンと評判で、大勢の女生徒から想いを寄せられている。
同性である逸人の目から見ても非常に整った顔立ちで、ぶっきらぼうだが優しい所もあり、人気があるのも頷ける。
そんな相手が、自分に対して好意を持っていると言ったのだ。
逸人の反応も仕方がないと言えるだろう。