足立夢
□真実は…
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「嫌いだよ」
そう告げれば少し眉を動かすだけの君。
予想外の反応はしなかったか。
驚愕する君の顔が見てみたかったのになぁ。
「僕は、君が、嫌いです」
「…左に同じ」
第一声がそれ?
まだ君は「嫌い」しか言わないつもりなんだね。
聞こえなかったのかと思ってもう一度言ってみたら「左に同じ」って。
君は浅はかだな。
一度くらい「好き」と言ってみればいいのに。
だから今日も僕は教科書に目を落とした君の髪を撫でるんだ。
君の落とした涙に気づかずに。
真実は…
(明日の僕の方が浅はかだったみたいだ)