足立夢

□真実は…
1ページ/1ページ




「嫌いだよ」



そう告げれば少し眉を動かすだけの君。
予想外の反応はしなかったか。
驚愕する君の顔が見てみたかったのになぁ。



「僕は、君が、嫌いです」

「…左に同じ」



第一声がそれ?
まだ君は「嫌い」しか言わないつもりなんだね。
聞こえなかったのかと思ってもう一度言ってみたら「左に同じ」って。
君は浅はかだな。
一度くらい「好き」と言ってみればいいのに。



だから今日も僕は教科書に目を落とした君の髪を撫でるんだ。
君の落とした涙に気づかずに。



真実は…





(明日の僕の方が浅はかだったみたいだ)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ