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□サンプル
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「…あけまして、おめでとう。起こしたか?」
「ふふっ、起こされました…。でも、わざとでしょう?」
御堂の太ももの上に頭を置いて、着替えを済ました足を上からなぞる克哉。手が膝まで降りた後、横髪に滑り込む指先に意識を向ける。
「早く起きて欲しいとは思ったが、このままでも悪くないとも思った」
「どうしてですか?」
素朴な疑問に聞こえているだろうか。どうせ答えは、お互いに知っているのだから。自分の耳の形を確かめる指に、くすぐったさを覚えさせられ、お返しにと指を捉え克哉が施すのはキスだ。
「どうせ、君の瞳が最初に映すのは、私だからな」
「…あなたの瞳には、オレですしね」
指の腹から唇を離し、後ろ側にある紫色の瞳を見上げる。
近付くまで、そのまま見詰め、降って来たお返しを、瞳を閉じて唇で感じた。
1年の計は元旦にありとは良く言うが、キスだけは二人に取って、今後も欠かせない行為になるだろう。
だから、体勢が悪いと、離れた唇を追う様に克哉が身体を起こす。それを待っていたかの様に、恋人の腰に手を回した御堂が、仕掛けられたキスから主導を奪おうと舌を深く伸ばした。元より、主導を奪われる気だった克哉は、自分の口内に侵入して来た舌を受け入れ、蹂躙されるがまま奥まで曝け出す。
「……誘い過ぎだぞ」

 

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