ショート劇場
□一輪草
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一輪草。それは茎から一輪だけ、花を咲かせる花。
花言葉は
追憶
『か〜つ〜や!飯食いに行こうぜ?』
『うん。けど、後ちょっと・・・』
仕事机にかじりつき、克哉は作成した資料の不備が無いかチェックする。
事細かい作業を苦に思わないのか、再三チェックをしていた。
『大丈夫かな?もう一回、確認した方がいいか・・・』
『ん?大丈夫そうだぞ?』
『ホント?なら良かった』
俺の一言でチェックを終え、纏めた資料を課長に渡しに向かう。
そして帰って来た克哉に尋ねた。
『いいのか?あっさり渡して』
『へっ?大丈夫だよ。本多の、お墨付き貰ったし』
克哉は鞄から財布だけ取り出し、俺の背中を叩く。
『オレは、お前を信頼してるからさ』
さらりと事もなげに言い、お前はありがとうと笑う。
あの時もお前は、ずっと迷い悩んでいたんだな。