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□誰かの願いが叶うころ
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もし、この世でたった一つ願いが叶うとしたら
貴方は何を願いますか?
【誰かの願いが叶うころ】
ついこの間、長くに渡って続いていた一つの戦がようやく終結した。
世にも有名な、川中島の戦いである。
勝敗は、武田の勝利で上杉の敗北という形で幕を閉じ、主の主が願っていた宿敵との戦いは主の主の勝利で終わった。
その時一緒に同郷で育ち、長く付き合いのあった金髪の美しい女は、彼女が崇拝し、愛していたその主と共に安らかに目を閉じ・・・逝った。
彼女は、幸せだったのだろうか。
嫌、きっと彼女は幸せだったんだ。
なんせ、愛し愛された人と共に逝けたのだから。
(俺様には、それは許されないことだけど)
でももし、たった一つだけ願いが叶うとしたら
その時は・・・
「佐助、おい佐助・・・何考えてんだ?」
この愛おしい人と、共に逝きたい。
「・・・なーに、旦那?そんなに俺様のことが気になるわけ?」(にっこり
そう願ってしまうほど、俺はこの人に・・・惚れている。
「ばっ、んなわけねぇーだろうがっ。ただ、・・・てめぇが哀しそうに見えただけだ」
本当に、本当に、聡いほど勘の良い彼のことが好き過ぎて好き過ぎて堪らない。
「・・・ねぇ、旦那?」
「Ah,なんだよ・・・・・?」
「もし、もしもだよ・・・?もしも、たった一つだけ、願いが叶うとしたら・・・・旦那は何を願う?」
答えは分かっていることだけど・・・、聞いてみたい・・・。
貴方の願いを、貴方の・・・望みを。
「そうだな・・・、俺は・・・」
「・・・俺は?」
「俺は、お前と共に・・・生きたい」
・・・・今、この人は何て言ったのだろう?
もしかしなくても、俺と同じことを・・・・?
っ、天下や・・・泰平の世じゃなくて・・?」
「天下や泰平は、俺が必ずこの手で作ってみせる。だから、まぁ、もし願うとしたら・・・俺はお前と生きたい」
「・・・っ、旦那」(ぎゅっ
「うぉっ!?いきなり抱きついてくんなよ・・」
あぁ、もう・・・俺は根っこの底から駄目かもしれない。
だって、こんなに身分も何もかもが違って、ましてや味方ですらないのに、この人が本当に愛おしくて堪らないなんて。
「っ、〜〜・・・」
「佐助、泣いてんのか・・・?」
「ないてなんか、ない・・・」
「嘘付け、ったく・・珍しいこと聞いてきといて泣くんじゃねぇよ・・・;;」
「だ、って・・・」
「だって何だよ?」
「旦那が好き過ぎて好き過ぎて堪んないんだもんっ・・・・」
「っ・・・!そういう恥ずかしいことは余所で言えってんだ・・・、馬鹿」
そう言って、やさしく後ろに手をまわして擦ってくれる手が酷く酷く・・・心地よくてたまらない。
ねぇ、旦那・・・。
もしあんたの願いが叶ったら、俺様の願いも叶うんだよね?
だからさ、俺様の願いはあんたの願いが叶うことにするよ。
だってそうすれば、二人の想いが願いになって叶う可能性が増えるでしょ?
どうか、俺様と旦那が末永く一緒にいれますよに。
(願いは想い____)