BSR短編A

□中身のない器に未来はないの
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流血・グロテスクな意味でお下劣。
そして相も変わらず意味不炸裂。
えっつらーんちゅーいっ。







生かされている。
正に、私の"入れ物"のことだ。

戦いで手足を根本から斬られ、目を背け耳を塞いで泣きたくなるような拷問に多量の自白剤。たまに正規のものより粗く製造管理処理された媚薬。
おかげで私は手足といった権利とはまた違った自由を奪われ、生き物としてあるべき本能に付き従う聴覚や視覚、触感など知覚全般の感覚を失った。
喰らった新開発の爆弾。皮膚は焼き爛れ、包帯が皮膚の変わりを辛うじて務め、なんとか私は生命活動を停滞させることなく持ちこたえている。

ある意味、奇跡だ。
しかし、ある意味、地獄だ。

不衛生な布団の上に寝かされ――否、転がされ、チューブが全身から生え、まるで私は改造人間。

呼吸も、鼓動も、開眼も、すべてすべて、機械の手助け無しでは、出来ない。
所狭く繋がれたチューブ。どれかひとつを抜いただけでも、私はたやすく死ぬ。きっと、この惑星に存在するすべての生物で私が1番殺しやすい。

ぶんぶんと私の上で耳障りな音がする。汚いわね。蝿だなんて、不衛生な。
ああきっと、私は「中身」だけでなく「器」も生きる価値ないんだわ。
今にも蝿が、腐りかけ異臭を放つ私を骨の髄まで、髪の毛一筋さえ喰らい貪ろうと目を光らせているのでしょう。

そろそろ、中身のなくなった器も、死ぬでしょう。

「――、起きろよ」

機能しない耳。弱く今にも止まりそうな私の鼓動の変わりにチューブが機械がピコピコゲームのような軽い音をたてる。
その無機質で五月蝿い音の合間を縫って、有機物の声が包帯の内側に身を隠した私まで届いた。

(珍しい)

私の存在を知っている人がいたなんて。

(なんて、酔狂な)

クククと思考の中で嘲笑う。
同時に生命の根源がどくどく音たてるところが、少し、冷たくなる。なんだろう。まるで、このまま体温を失って、器から最後の「私」が抜けていくような感覚。

「…起きろよ、――」

(だあれ?)
(何で)

(「私」が「――」だと認識出来るの)

顔も分からない。声の振幅も音高も分からない。どんな表情で何処から、どういう感情で、私を見下ろし、名を呼んでいるのかしら。
一体、誰が。

「――、起きろよ、」

(ねぇ、)

「起きろよ、」

(貴方は、)

「…っ頼むから、起きて、くれよ…っ」

(だあれ?)

何でこんな器の私にそこまでこだわるの?
もしかして、貴方は私の「器」が好きだったの?中身があろうがなかろうが、関係ないの?

ねぇ、貴方誰なの?
私は、何なの?

中身なんて消えてしまった。器なんて包帯外したら器なんて言えないほど死にかけてる。
むしろ、9割型死んでる。


そんな器と中身、生きる価値あるの?



∴中身のない器に未来はないの


相変わらず意味不明で不明瞭意味不ですな。
うーん。でもちょっと満足。

20110728.

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