小説【恋の豪邸】
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『聞き捨てなりませんね、僕が変態だなんて(笑)君みたいに妄想の激しい人間が近くに居たらモモさんが穢れてしまいます』
『んだとコラ!!っつかテメェなんかが軽々しくモモを呼び捨てにしてんじゃねぇ!』
一見爽やかな好青年風な笑顔に見えるが持ってる意味は全く違う。――コイツがこんな笑顔を見せる時はマジでキレてる時だ。普段は偽善者ぶるコイツが他人の為にキレる事は滅多にない…と言うかモモの為にしかキレない。何故ならコイツはモモに………心を奪われているから。俺はその事をあまり心良く思っていない―――当然だ。
『テメェが絡んだ方がモモが穢れるっての!つかお前モモに変な事吹き込んでんじゃねぇよ!益々天然に磨きがかかるだろうか!』 『っっ!私は天然じゃありません!』
俺が“天然”と言う言葉を口にすると恭矢の方ばかりを向いていたツナもこっちを振り返り反撃姿勢に入った。瞬時に頬を膨らませる狸に変身したモモの肩に恭矢が触れる程度に手をのせる。
『放っておきましょうモモさん。この人の相手をしていると貴方の魅力が半減してしまいます』
『あぁ!?おいコラテメェ…俺を怒らせてぇのか!?』
あまりのムカつきように俺が立ち上がる。だが恭矢は余裕そうな顔で俺を見つめ笑った。
『そのような状態でよく悪態がつけるものですね(笑)…本当は歩くのもままならないんじゃありませんか?』
言われて思い出した。そうだった…俺は今熱が…。思いながら意識が遠退く。
クッソ恭矢の前でざまぁねぇぜ………。
『ごっご主人様ぁ!』
倒れた隼人を地面に衝突寸前に受け止めたのはやはりと言うか…モモだった。
『大丈夫ですかご主人様!』
隼人が最後に見たのは視界がボヤける中泣きそうになってるモモの顔だった…。