小説【恋の豪邸】
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そう言うやり取りをしていると、いきなり後ろから肩をガシッと包まれるように回された。ツナも同じような目に合ったらしく俺と同時に後ろを振り返った。
『オス!モモ!隼人!今登校か?相変わらず仲良いよなー』
気の抜けそうなくらい能天気な声……そんな人物は自分達と接点がある人達の中でただ一人しか知らない。
『竹山!?』
『何だよモモ そんなビックリすんなって傷つくなぁ』
竹山はモモの親友だ。前にモモが不良から絡まれたトコを通りかかった山本が助けたらしい…いつもは俺が助けてやってたんだが丁度そん時 運悪く俺は居合わせてなかった。だから他のヤツに助けられてたと聞いた時はホッとしたがそれ以来仲良くなりだしたモモ達を見てると何故だか異様に腹が立った。きっと竹山とは根っから馬が合わねぇんだな。この能天気な声も何も考えてなさそうな口調も全てが気に食わない。
『気安く触んじゃねぇ離しやがれ』
『まぁまぁ良いじゃねぇか』
『良くねぇ!』
言い合いになる俺と竹山を目を丸くしてモモが見ている。
『竹山今日 部活じゃないの?』 『おぅ寝坊しちまってな…今日は休んだわ』
モモが話しかけると漸く俺の肩から重みが消えた。
『そうなんだ?珍しいね竹山が……………あっっ!』
『『……?』』
続けられる筈だったモモの言葉が途切れた。不思議に思った隼人と竹山がモモの目の先を追おうと後ろを振り返る。何人ものこの学校の生徒達がこっちを見つめてウズウズしている…正確に言うと…見つめているのはモモただ一人。
『…………あれは』
もうすっかり見慣れてしまった“モモに告白し隊(たい)”の人達だ。隼人と竹山は半目でモモを見る…やはりモモの顔は 今から敵陣に乗り込むような険しい表情だった。意を決したように顔をバッと竹山に向けるとはっきりとした声で叫ぶ。
『ご主人様っここは危険です!先に教室へ上がって下さい!竹山ごめんご主人様をお願い!』
そう言うと竹山は自分に恋心を抱いている生徒達の方へ走って行った。手には砂やら石やらが握られている…まさかそれで倒すつもりなのか。数秒後、振られた〜と泣きながら他の生徒に抱きつくモモのファンの姿が見受けられた。その様を見て山本が獄寺に呟く。
『モモってさ……微妙に…天然だよな』
『微妙にじゃねぇ、ありゃ間違いなく天然だろ』
全員を倒したのかモモが砂だらけになりながら安心しきったように自らの額を拭う。獄寺がまだ居たこと…自分の方を見ていた事に気がつくと主人を見つけた犬のように嬉しそうに走って来た。
『ご主人様〜』