小説【砂漠物語】

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カコーン


広い風呂に桶の音が響きます。アラゴンとベネットが真剣な話をしているのと同時刻、ジェラードは部屋に付いている風呂にのんびりと浸かっていました。久しぶりの宿泊まりな上についさっきまで当に鼻の中まで凍るような白銀の山を歩いて来たのです。手足は冷たいしもうクタクタです。ですが自分の事となれば目の色を変えるアラゴンは例え彼をクビにしようと地震マグニチュードが来ようが嵐が来ようが止められないのは十分分かっているです。


「はぁ…早く上がりたい。」


ジェラードは年頃の女のコであるのにも関わらず あまり綺麗好きではありませんでした。その上一国の姫であると言うのにドレス・パーティーなどそれらしい物は全く好まず 天気が良い日は外でかけっこや乗馬…たまに遠乗り。殆ど城に居る事も少ないのだ…度々アラゴンの苦労が伺えます。よくジェラードの世話に飽きないものです。


「あぁもう早くご飯食べたい!何で先にお風呂とか入らなきゃなんないの?アラゴン頭堅すぎるのよ全く!」

幼い頃から周りから愛され散々甘やかされ育ってきたジェラードは至って自分中心で我が儘なのです。苦労も自分で何かを成し遂げると言う事も知りません。


「と言うか最近変な気配がするんだけど気のせい……っ痛っっ!」


急に腕が痛み出しました。
今日はそんなに運動した覚えはありません。見たところ普段と変わりありません。

「っったたぁ〜何だったんだ今の?」

暫くして痛みはひいたものの何だったのか気になります。本来考える事が大の苦手なジェラードです。あまり原因を考えようと思いませんでした。とりあえず今日はもう寝ようと風呂場を後にするのでした。

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