小説【どっちBOSSケット】

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「…はぁ」
5限目に入る頃には既に私は息絶えたような状態だった。ついてけない…全くもってついてけない…。金持ちは一体何考えて生きてるんだ?結局今のトコ1限から5限まで休まず全部受けたのは私を含め、たったの4人程度。お嬢様・お坊っちゃまはこのまま7限まで休むつもりなのだろうか。……あり得ない。具合が悪い訳でも悩みがある風でもなさそうなのに、こんなに休んだら試験どころか単位取れなくなるでしょうよ。

「えー授業を始める。えー教科書は10ページ。えー単旋律音楽モノフォニについて……えー」

何だやたらと“えー”が多い先生だな。こう言う先生は一つの単語につき何分も時間をかけて説明するタイプが多いんだよな。予想通り、先生はやたらと長々と話し始めた。その声の魔術により、だんだんと瞼がおりてくる。加えて私の席は窓側の一番後ろ。午後の暖かい日差しに纏われるのは必然。元々ピアノ線よりも脆い忍耐力を持つ私は当然睡魔に勝てるわけがなく、あともう一歩で夢の世界へ行ってしまうと言う時に――――教室のドアが開く大きな音によって現実にひき戻された。


顔を上げるとそこにはツンツン頭の美少年が立っていた。

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