『こっくりさん』









ア「こっくりさん、こっくりさん。明日の天気はなんですか?」




――“ア”



――“メ”





JA「本当に誰も動かしてないのか?」


鬼「俺は動かしてねーぞ。というか、力入れてたら指見りゃ分かるだろ。赤くなるし」


遊「不思議だな、本当に動くもんなんだな」


鬼「ていうか、お前等知らねーだろ。本当はこういう心霊ゲームって学校じゃ禁止されてるもんなんだぞ」


ク「へぇ、そうなのか?」


鬼「なんだよ、俺だけー?たった一年の差なのにこのジェネレーションギャップ」


ア「まあ、良いじゃない。ちゃんとルール通りにやれば」


鬼「アキって真面目な割には、こういうのに挑戦するよな…」


遊「次、どうする?」


鬼「こっくりさん、こっくりさん。一週間以内に抜き打ちテストありますか」




――“ナ”



――“イ”




鬼「おっし、今週セーフ!」


JA「わざわざここで聞くことか?」


遊「鬼柳らしいな」


鬼「だって心配だったんだもんなぁ…そろそろ抜き打ちくんじゃねぇかと思って」


ア「警戒し過ぎよ」


ク「こっくりさん、こっくりさん。鬼柳は今年も留年しますか」


鬼「えっ、何聞いてんの!?こっくりさんに何聞いてるの!?」


ク「だって、今のうち知ってた方が…お前も必死になって勉強するだろ?」


鬼「だからって普通聞くか?!」


ア「あ、動き出したわ」


鬼「えっ!?」





――“ベ”



――“ン”



――“キ”



――“ョ”



――“ウ”



――“シ”



――“ロ”





遊「…“勉強しろ”だそうだ」


JA「……しなきゃ、留年ってことだな」


鬼「マジ…かよ…」


ク「お前…人類初の、こっくりさんに注意された人間じゃねーの?」


ア「不名誉ね。こっくりさん、案外良い奴じゃない」


鬼「有難うこっくりさん、俺勉強するわ…」


遊「どうする、そろそろ帰ってもらうか?」


ア「そうね。こっくりさん、こっくりさん。今日は有難うございました。どうぞお帰り下さい」







――スススッ









ク「……“べんきょう”」


JA「……“するまで”」


遊「……“かえらない”」


ア「だ、そうよ?」


鬼「えぇええ今から!?しかもこっくりさんの監視付き!?」


遊「頑張れ鬼柳、こっくりさんも応援してるぞ」


JA「今日の宿題、終らせておけ」


ク「さっさとしろよ、こっくりさんが納得するまでこっちは動けねェんだから」


鬼「……はぁーい、やればいいんだろ…やれば…」





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