加地×日野小説

□恋人同士
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笑顔を見せながら眉間のシワに指をなぞらせる加地の行動に香穂子の心臓がドクンと跳ねる。

「か、加地君…っ!?」

動揺で声が裏返る。
その恥ずかしさも加わって香穂子の顔はみるみるうちに真っ赤に染まる。
そんな香穂子が可愛くて愛しくて、加地は目を細める。

「やっぱり可愛いな…。」

思った事がそのまま言葉として呟かれたけれど、幸いな事に香穂子の耳には届いていない。
届いていたら今頃暴れだしていた事だろう。
その可愛らしい姿(加地にはそう映っているのだ)を想像して一段と笑みが深くなる。

「加地君…何笑ってるの…!?」

自分ばかりが動揺しているのが何だか悔しくて香穂子が加地に詰め寄ろうとしたその時だった。


「△△駅〜、△△駅。駆け込み乗車はお止めください。」

駅のアナウンスが聞こえてきたと同時にものすごい人数の乗客が乗り込んでくる。

先程まではまだ余裕のあった車内が行楽帰りの乗客で埋め尽くされた。
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