加地×日野小説

□恋人同士
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私なんかのどこがいいのだろう…

いくら考えても香穂子の中に答えは存在しない。

以前、土浦が加地に

「アイツのどこがそんなにいいのか?」

(だいぶ失礼な質問だとは思うが)と尋ねているのを偶然聞いた事があった。

「彼女の全てだよ。」

と加地はアッサリ答えた後、次々に香穂子の素晴らしい所を挙げていき、

「わかったから。もう充分だ…!」

と土浦の激しく後悔する顔を見た事がある。


そんな風に言ってもらえるのは嬉しいし、くすぐったい気もするけど、もったいない賛辞のような気もする。


「どうしたの?香穂さん。」


加地は何やら考え込んでいる香穂子に声をかけてみる。

「えっ…!?」
「何か考え事?難しい顔してたけど。」
「そ、そうかな?」

さすがに考え事の中身について本人に話す訳にはいかないので大した事ない素振りで誤魔化そうと試みる香穂子。
そんな気配を察してそれ以上の追求をするのは止めたものの未だに難しい顔が和らぐ事のない香穂子に加地はちょっとした悪戯心を見せる。

「香穂さん。眉間にシワ寄ってるよ。」
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