リクエスト
□私を離さないで
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「だから…!誤解だって!!」
「嘘ばっかり!もういいよ…!!」
放課後の教室。
いつもなら雰囲気のある夕日に照らされた教室なのに、今日はそんな雰囲気ではない。
私は涙でいつの間にかぐしゃぐしゃになった顔を背けながら、土浦君をなじっている。
♭♭♭♭
事の始まりは先週。
冬海ちゃんが帰り道で女の子と仲良さそうに話している土浦君を見かけたことから始まった。
最初は気にしてなかったけど、少しだけ…胸がちくっとしたのを覚えている。
でもごまかして「土浦君だって、女の子と話したりするのは当たり前じゃない!」と笑ってみせた。
それから数日後…
今度は天羽ちゃんまでもが目撃したというのだ。
「ねぇ…?なんだったらあたしが聞いてこようか?」
と心配してくれた天羽ちゃんに、私はまたごまかすように笑って
「そんな…大丈夫だって。いちいちそんな事で問い詰めてたら土浦君だって困っちゃうでしょ?」
私自身も言い含めるように言葉を吐き出した。
そう…大丈夫って思ってた。
だけど、大丈夫じゃなかった。
心配で仕方なかった。
それでも、不安を押し込めて私は笑ってみせた。
それなのに今日はもう我慢が出来なくなってしまった。
だって見てしまったんだもの。
練習を終えて、音楽棟から自分の教室まで戻る最中に、土浦君とすごく可愛い女の子が仲良く楽しそうに話しているところを。
「今日一緒に練習しよう」ってメールを入れたけど、返ってきたのは「悪い。今日は用事があるからまた明日な!ホントごめん!!」っていう返信だった。
その「用事」って…その子と一緒にいることだったの?
そう思った瞬間、今まで保っていた平静が崩れた。