短編

□レモン味
1ページ/1ページ




『ブン太ーお腹空いたー』

うん、お腹空いた
すっごいお腹空いた


「俺だって腹減ったよ」



なんでだよー
いっつもお菓子食べてんじゃん



「今日はきらしててこれしかねーの!」



そう言って取り出してきたのは
レモン味の飴一個



『おや、ブン太にしては珍しい』


「だろぃ?だからやれねぇーよ」


『ケチ』

「うっせぇ」



呟きながら飴を自分の口に放り込むブン太

馬鹿
ケチ



『今日朝御飯もお昼も食べてないのにー!!
ブン太の馬鹿ー!!』


「うっせーな
そんなに食いたかったのかよぃ?」

『うん』



ニヤリと笑いながらブン太がこっちを向いた
絶対なにか企んでる



「なら…やるよ」


そう言うとブン太の顔が近付いて来た

なっ?!まさか……


『ん…』



キスされた

しかも!!
ご丁寧に先程まで自分が舐めてた飴を
私の口の中に入れてくれやがりました



……ファーストキスだったのに…



『逝ね……私のファーストキス返しやがれ』


「お前が食いたいって言ったからだろぃ?
つか、俺だってファーストキスだってーの」



んなこと軽々とするな!!
嗚呼、少し悲しくなってきた



「ファーストキスはレモンの味ってな」


『それ言ってて恥ずかしくないの?』


「恥ずかしいよばーか」



ブン太はそう叫ぶと
どっかに走って行ってしまった


……可愛いやつ






ファーストキスは
酸っぱくて甘い
レモン味






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ