Couple

□JUMP
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「アイツは…?」

「…今はオレが明神をやってる。」


それを聞いた彼女は、何かを失った瞳をしていて。


胸が、ひどく痛んだ。





再会した冬悟と澪は、うたかた荘の屋根の上で話をしていた。


「だから…アイツは、もういない。」


冬悟が明神の最期を話すのを、澪は黙って聞いていた。


彼女の脳裏に浮かぶのは、サングラスを掛けた飄々とした男。


いつだって、彼は傷つきながらも守って。


次に会う時は、隣りで戦うって決めていたのに。


「…あたし、強くなったのになぁ。」


涙が止まらない。


私の好きな人は、逝ってしまった。





いつもの強気な表情が彼女から消えて。

隠しもせずに涙を流している。


「…オレじゃ、ダメか…? 」


見ていられなくて、思わず抱き締めた。


「オレは…あんたの事ずっと見てた。

守りたいんだ…。」





どうしようもなかったオレが、明神と出会って変われた。


彼女の想い人であるアイツに敵う訳ないけど、この気持ちは紛れもなく本物で。


「零。」

「っ、冬悟…。」


その優しさに縋ってしまう私は、強くなんてない。





(オレは、私は、なんて狡い。)



08*3/17
09*3/10 加筆修正
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