Couple
□JUMP
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「アイツは…?」
「…今はオレが明神をやってる。」
それを聞いた彼女は、何かを失った瞳をしていて。
胸が、ひどく痛んだ。
再会した冬悟と澪は、うたかた荘の屋根の上で話をしていた。
「だから…アイツは、もういない。」
冬悟が明神の最期を話すのを、澪は黙って聞いていた。
彼女の脳裏に浮かぶのは、サングラスを掛けた飄々とした男。
いつだって、彼は傷つきながらも守って。
次に会う時は、隣りで戦うって決めていたのに。
「…あたし、強くなったのになぁ。」
涙が止まらない。
私の好きな人は、逝ってしまった。
いつもの強気な表情が彼女から消えて。
隠しもせずに涙を流している。
「…オレじゃ、ダメか…? 」
見ていられなくて、思わず抱き締めた。
「オレは…あんたの事ずっと見てた。
守りたいんだ…。」
どうしようもなかったオレが、明神と出会って変われた。
彼女の想い人であるアイツに敵う訳ないけど、この気持ちは紛れもなく本物で。
「零。」
「っ、冬悟…。」
その優しさに縋ってしまう私は、強くなんてない。
(オレは、私は、なんて狡い。)
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09*3/10 加筆修正