Gift

□みっきー様へ
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『温もり』



「サンも来ないか?」

「断る。」

「じっとしていては凍えるぞ?」

「中の方が温かい。」

「これを手に嵌めるといい。」

「む…。」




手袋は気に入ったが、私は雪など見飽きているというのに。




アシタカは少年の様な笑みを浮かべて、雪に触れている。


「…? 何してる。」

「雪ダルマだ。」


アシタカは雪を転がして作った塊を二つ乗せて、上の塊に葉や小枝で顔を作った。


「こういう遊びがあるのだ。サンもやってみないか?」

「仕方ないな…。」


サンが小さいのを手早く作ってさっさと洞窟に戻ると、アシタカが苦笑して中に入ってきた。


彼は火にかけていた瓢箪を外し、中身を椀に注いだ。


サンから毛布を受け取って、アシタカは彼女の隣りに座る。


「飲むといい。身体が温まる。」


椀を受け取ったサンは匂いを嗅ぐ。

湯気と甘酸っぱい香りが、鼻をくすぐった。


ふー、と息を吹き掛けて一口飲んでみる。


「…不思議な味だが、気に入った。」

「そうか。これは甘酒だ。よく私の母が作ってくれた。」



アシタカが懐かしそうに目を細めるのを見て、サンはモロの事を思った。


(母さんも寒がりだから、甘酒が好きになったかもしれないな…。)


「冬は寒くて嫌いだ。

でも、お前となら悪くはない。」


甘酒も飲めるし、とサンは笑った。






(あったかいな。)



09*12/20
 

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