妖怪奇譚

□第六話「うらはらなPと霊感王子様」
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遠い記憶

優しい光

消え失せた

かけがえのない

白い月






妖怪奇譚 第六話

うらはらなPと霊感王子様



「オチビ、3日もどこに行ってたんだよ」

リョーマは悪魔のような少年と戦い、どうやら勝ちを納めたようだが、ダメージもあったため大事を取って休みをとっていた。

「ただの体調不良っすよ」

菊丸の問いにまともに答えなかったのは、記憶が曖昧だったからだ。
「ふーん」

納得いかない答え

だが菊丸はそのまま引き下がった。

これ以上このクールな後輩にかまってもどうにもならないことを知っていたからだ。

菊丸がその場を離れると、今度は不二がリョーマの隣にやってきた。

いまは朝練前の僅かな時間

リョーマは珍しく遅刻もせずに朝練に出ていた。

隣に来た不二はリョーマに怪訝な表情を向けていた。

「越前、英二も心配だったんたよ」

クールにあしらったことをたしなめられたと思ったリョーマは、

「別に大したことじゃないっすよ」

と答えた。

しかし不二の表情は冴えなかった。

「魔気を纏っているようだから、英二は力を形として見ることが出来るから、心配なんだよ」

越前には先日の出来事が思い出された。
リョーマが対峙した悪魔のような少年

きっと彼から受けた力だと分かる

「どーも」

リョーマは不二のお節介に対し、帽子のつばを下げながら礼を告げるのであった。

そんなリョーマの言葉に不二は口角をあげた。

「まあ、何もないならいいんだけどね、朝練始まるよ」

そう言って、不二は集合をかけた手塚のもとに走っていった。


テニス部朝練後


始業前の僅かな時間

心霊部のメンバーば部室に集められていた。


リョーマが悪魔のような少年と対峙した日から既に3日、青春台には新たな問題が発生していた。


魑魅魍魎の消失である。


校内の七不思議の霊やら、視える彼らにとっては学校内の賑わいが全くなくなってしまったのだ。

「原因は目下調査中だ。ただ、」

乾が眼鏡の奥を光らせる。

「都内の学校や関東圏の学校の一部でも同様の事が起こっていることを付け加えておくよ。」

何かが確実に起こっていることが乾の言葉に含まれていることは明らかだった。

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