※逆トリ連載の最新話です
※名前はデフォルトの皐になっております、気になる方は、ブックの更新までしばらくお待ちください

第二話echo

とりあえず

「お茶でもどうですか?」

電話の相手を確認してから折り返しまた電話することを伝え、切る

ありふれた急須でお茶を入れて、湯呑にそそぐ

食卓のテーブルについた斎藤さんはタンクトップ姿で、その、鎖骨なんかが見えていてなんだか…えっ

「どうぞ」

斎藤さんは訝しげに上目遣いでこちらを見ながら、お茶をすする

「…毒なんて入ってませんから」

仕方のないことだけど、こうもあからさまに警戒されると、ちょっとばかし悲しい

私は若干傷ついた心を奮い立たせて、話を始める

「単刀直入に言わせていただきますと、ここは、あなたがいた所から百年と少し経ったところです」

斎藤さんはなおも訝しげにこちらを睨むばかりだ

「…信じられないかもしれませんが、私はあなたの玄孫です」

私を殺さんばかりの鋭い視線

いたい

「…それだけ、私も今はそれくらいしかわかりません」

いたい

こんな安穏とした時代では滅多なことがない限り見ることのできないであろうその目が明確な敵意が

オブラートに包まれることのない、はっきりとした意思が

いたくて、こわい

「ここでは、時間の行き来がよくあることなのか」

「…まさか、私だって混乱しています」

「そうは見えない」

痛くて怖くて、悲しい

「だが」

ききたくない、もう、感情を堪えていられない

泣いてしまいそうだ





「お前の言う事を、信じよう」

「ぇ…」

斎藤さんは、静かに、こともなげに、そんなことを言う

「今の俺にはなにもねェからな、それしかできねェ」

射殺されてしまいそうな程鋭い眼の奥で、軽く笑って、そして

「裏切るなよ、皐」

柔らかい声でそんなことを言う












(その鮮やかさに、涙が落ちた)


何かございましたら!



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