捧げモノ・宝物

□花に託してきみへ
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お前に贈りたい。
奇跡の花を。
花の影に秘めた確かなる言葉で。
少しだけ、垣間見せたお前への気持ち。
お前は受け取ってくれるだろうか。

…トルコ。






麗らかな日差しがふわりと風に揺られ、何とも言えない温度の中。
日本の春を見てみたかったトルコは、日本に断りを入れて、ふらりと訪れていた。
ふんわりと香る緑の匂いに鼻を引くつかせ、さわさわと揺れる草花に目を細めた。



「…ん〜、いい天気だな。」



ゆっくりと伸びをして、トルコ特有の衣装をゆらりと揺らした。
トルコにはないはっきりとした四季。
そして、その中で一番優しい季節の春。
トルコは、来て良かったな、と小さく笑んで、自然が勧めるがままにゆるりと目を閉じた。













柔らかな土や草花を感じながら、ギリシアは足を進めた。
暑くもなく、寒くもない温度は柔らかく肌を撫でていき、気持ちが良い。
ふらり訪れた日本にトルコが来ていることを知り、ギリシアは日本に諭されてトルコを探している。
特に何かがあったわけではない。
ただ、日本にある話をされてトルコに会ってみたくなったのだ。
いつも心に秘めておきながら口には出せないこの気持ちを、わからないようにトルコに伝えてみたくなったのだ。

さくり

さくり

地面に生える名も無き草花が会話する。
足を進めるごとに喋りだすその姿に、ギリシアはくすりと笑う。
右手に持つのは、少しの花束。

きっと、驚く。

きっと、困ったように、笑う。

逸る気持ちを抑えながら、日本に教えてもらった道をギリシアはゆっくりと歩いた。










さわさわと柔らかく風が頬を撫でていった感触に、トルコはふと目を覚ました。
大分寝ていたのか、天辺に来ていた太陽が大分傾いてるのが見て取れた。



「ん〜良く寝たな。」



ふぁ、と小さくあくびを零して、周りを見渡す。
春、と感じさせる世界がトルコを包んで、トルコに暖かな何かを感じさせた。



「…アイツにも見せてやりたかったな。」

「誰にだ?」



ポツリと零した言葉に返事が返ってきて、トルコは思わず振り向いた。



「おめぇ…!!」



ガバリと起き上がったトルコの視線の先にいたのは、なにやら小さな花束を持ったギリシアだった。
たった今頭の中で思い描いていた相手がひょいっと現れたことに、思わずポカンっとトルコは口を開けてしまった。




「…何でぃ。お前ぇさんも日本に来てたんかぃ。」

「日本に会いに…」

「へぇ、んで?何でこんなとこにいるんだ?日本さんなら、自宅にいるはずだぜぃ?」

「トルコが、来てるって。日本が…言ってた。」

「あ?」



てっきり大好きな日本に会いに来たのかと思い、日本の自宅の方向を指差したトルコは思いがけず仮面の下で目を見開いた。
こんなとき、仮面をつけていて良かったと心底トルコは思う。
気づかれないように小さく苦笑を零して、トルコはギリシアにじゃぁ用はなんだとばかりに視線を送った。



「ん…」

「何でぃ?コレは?」

「花…」

「いや、そんなことはわかるけどよ?」



口の端に笑みを浮かべて、手渡された花束を受け取ってしげしげと花を観察する。
蝶々のように開いたなんとも可愛らしい花が一本にいくつも付き、たとえ数本であっても何だか煌びやかな印象をトルコに与えた。
紫色のその花弁は、可愛らしいという言葉が一番良く似合う。
そこまで観察して、トルコはだから?とばかりに首をかしげた。



「…で?これをどうしろと?」

「やる。」

「おぃ、俺ぇは女の子じゃないんだがねぃ。」

「見ればわかる…」

「いや、あのな…」



意思疎通が出来ん、と半ばため息をつこうとしたトルコの顔に不意に影が出来た。
そして頬にちゅっと可愛らしい音が弾けて消える。
思わず固まったトルコに、当の本人はさっさと踵を返して、元来た道をふらりと帰り始めている。



「…はぁ?」



口をぽかんと開け、口付けられた頬を押さえ、トルコは一泊遅れて顔を朱に染める。




「何してくれやがんでぃ…」



今だ熱の冷めない顔に小さく苦笑を滲ませて、トルコは沈み行く太陽を見やる。
そして、よっと掛け声をかけて立ち上がると、ギリシアの歩いていった方向と同じ先に向かってゆっくりと緩慢に足を踏み出した。
去りゆく後姿を、夕日が照らし、幾ばくか冷えた風がトルコが寝ていた大地をゆるりと撫ぜて行った。




花に秘めるは、本心。
普段は言えぬその言葉。
花に込めて君に捧ぐ。

リナリアの花をお前に。






私の恋を知ってください















ヘタリアを扱ってるわけじゃないのに、書いて下さってありがとうございましたw
希と土はホントみてて和みますv
これからも希土をよろしくお願いしますね!!

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