頂きもの!!

□愛+愛=?
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「謙也さん、五時間目サボりません?」



なんて恋人の光からお誘いを受けて断れるほど俺は大人じゃない。
断るのが大人なら、俺は一生子供のままでええわ!



で、今俺と光がいるのは視聴覚室。
光のお気に入りの場所で、どういうわけか光は視聴覚室の鍵を持ってる。
「拾ったんすわ」
とか言うてたけど、そんなワケないやろ。
もしそうだとしたら教師真っ青やで。
自分の管理しとるとこの鍵がなくなったんやから。



そんなどうでもええことを光に言えば、



「どうでもええっすわ、そんなん」



俺の心の呟きをそのまま返されて、せやな、て笑うしかできなかった。
視聴覚室は授業ではめったに使われへん。
使われる機会があるとしたら、生徒が集められる時くらいや。
せやから、誰か来るんとちゃうか、とかそんな心配はしとらん。
ちゃんと中から鍵も掛けたしな。



「はぁ……疲れたわ〜」



「あぁ、そういえば謙也さん、四時間目体育でしたっけ。
 こんな暑い日にサッカーとか、大変っすね」



「だよな〜、暑かったわ!……って、なんで知ってんの?」



俺は、「今日四時間目体育でサッカーやねん!」て言うた覚えあらへんで?
そう思って光を見れば、ハッとした顔になってそっぽ向いた。
その光の行動に、にやっと口角が上がる。



「あれ?光、なんで知ってたん?」



「べ、別に……ええやないっすか」



「よくないで、気になるやん」



ずいずい身を寄せていけば、光は「うっ…」と唸ってちらっと俺を見てまたそっぽを向く。
頬がちょっと赤くなってて、視線がさまよっとる。



ああ、可愛ええ。
普段は毒舌ばっか吐いとる光が、俺の言葉一つで表情をころころ変えて。
可愛ええ、むっちゃ可愛ええ。



それをこの間白石に言うたら、



「……自分、それ惚気っていうんやで」



て、ウザいものを見る蔑むような目で俺に返してきた。
なんとでも言え、好きやからしゃーないねん。
白石も恋人作れば分かるで?て言うたら、



「黙れ惚気ヘタレスピードバカ」



なんて綺麗な顔で平然と言われて、さすがに俺も引き下がったわ。



そんなことを思い出しながら光に詰め寄ってく。
いい加減堪忍したのか、小さく息を吐いて薄い唇を開いた。



「体育やってんの、教室から見えてて……。
 謙也さんがサッカーやってんの見てました」



「ふーん、で?」



「?」



「感想はあらへんの?」



なんやねん感想て、教室から見とって感想なんざあるかっちゅーねん!
心の中の自分がそう言うてきてるけど無視や、ちょっと黙っとらんかい。
光は何か言いたげに口をパクパクさせとるけど、そんなんじゃ分からへん。



「なぁ、どうやったん?」



光の頬に手のひらを添わせて、親指で薄い唇をなぞる。
それだけで光は肩を震わせ、瞳を目蓋の裏に隠す。
頬にも、赤みが増す。
唇に少し指を入れれば、「あ……」と小さな声。



「言わなきゃ、鈍感な謙也君は分からんのやけど?」



やばいなぁ、俺。
自分でも思うわ、誰やねん、光の唇に親指這わせてんの。
……あっ、俺やった。



「か……かっこよかった、です…」



「ん?」



「ゴール決めた、時…めっちゃかっこよかった、です……」



「ん、よくできました」



そっと添えてた手を離してやれば、俺に抱き着いてきた。
熱く火照った頬を隠すように、俺の肩に顔を埋めて。
俺は髪を梳くように、光の髪で遊ぶ。



「……謙也さんのくせに、ムカつく…」



「なんでやねん!ムカつくってひどいわ」



「やって、謙也さんって可愛ええのかかっこええのか分かへん」



……可愛ええ?
光やなく、俺が?



「犬みたいに笑顔で抱き着いてくる時とか、テニスやってる時とか……」



い、犬って……そんなに分かり易いんか、俺って。



「せやのに、二人っきりの時は、かっこええとか……謙也さん、反則っすわ……」



……なぁ、光。
直接そんなこと言われる俺の身にもなって?
分かっとるやろ、俺我慢とか苦手やねん。



「光のほうが反則やっちゅーねん」



額にそっとキスをすれば、



「恥ずかしい人っすね、アンタも……」



なんて言いながら、俺にもキスしてくれた。
ああああ、可愛ええ!!




















「……で?それが五時間目と六時間目サボった言い訳かい」



「申し訳ございませんでした白石様」



部室で土下座しとる俺の横にはパイプイスに座って俺を見下ろしとる白石。
俺の隣には、正座しとる光。



「自分、絶対本気で謝ってへんやろ。今月入って何回目やねん」



「えっと……三回目?」



「アホ!片手じゃ数えられんくらいや!」



「すんません、部長。……俺が、誘ったんすわ」



「光!言わんでええって言うたやろ!」



畳にこすり付けとった頭をバッと起こして、隣の光に言う。
そんなこと言うたら光かてお咎め受けるやん!



「やって、いっつも謙也さん怒られてばっかやん!原因いっつも俺やのに……」



「ドアホ!俺は光守るためやったらなんでも平気やねん!」



「謙也さん……」



「光……」



「謙也さん!」



「光!」



「お前らなぁ……」



手と手握り合っとる俺と光がハッとなって白石を見れば、そりゃもう思い出したくないくらい恐ろしい形相やった。
部誌を書くために握られとったシャーペンがボキッなんてかわいそうな音をたてて使い物にならなくなる。





「バカップルは一組で十分じゃボケがあああああ!!!」






忍足謙也と財前光。
部長に、正式にバカップルと認定されました。





――――――――――――――――――――――
まずはゆか様にスライディング土下座m(__)m
ごめんねぇ、ごめんねぇ、でも好きなんだよ鬼畜チック謙也(←読むとくどい(笑)
でね、そんな謙也にベタ惚れの光も書きたかったの。
親指入れるとかそんなんダメだよ謙也クンハァハァ(//▽//)
変態なんだよわたしは、うん、はっきりと自覚させてもらったよ。


書き直しはいつでも受け付けるよ!
美味しいネタをありがとう(笑)

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