コンコン…
とある日の昼、僕と紫ちゃんが宿題をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「こーはーくー。」
この声は桃くんの声だ、どうしたんだろ。
そう思いながら僕はドアを開けた。
「なんか食べに行こー。」
「あれ?桃くん、紅先輩はどうしたのー?」
いつも桃くんと一緒にいるのに(正確には桃が勝手に紅にひっついているだけ)今日はいない。
「んーなんか、黒と灰と一緒に出かけちゃったー…。」
そう言っている桃くんの表情は少し悔しそうだった。
「ん?それでヒマだから僕達のところに?」
そう言うと桃くんは満面の笑みで返してくれた。
「あと、近くにいい感じのお店見つけたし。」
桃くんがそう言ったとたん、紫ちゃんが勢いよく立ち上がった。
多分、紫ちゃんの食欲センサーが反応したんだろうなー。
「うん、わかったよ、じゃあ準備するからちょっと待ってて。」
こうして、僕達はショッピングモールへと出かけた。
* * *
「じゃーんっ!ここがボクのオススメのお店だよっ!!」
桃くんが元気よくお店の看板に指をさす。
「中国料理屋唐辛子亭…。」
紫ちゃんが静かにお店の名前を読む。
ん?えっ?唐辛子亭っていかにも辛そうな…
「さぁー!はいろぉー!」
元気よく入ろうとする桃くんを慌てて止める。
「ちょっ、ちょっと待って!ここのお店、すごく辛そうな料理出そうなんだけど…。」
不安そうに見上げる僕に桃くんは邪気の無い笑顔で、
「大丈夫大丈夫!ここデザート専門店だから。ケーキとかしか出ないよ。」
と言った。
とてもそういう風には見えないけどなぁ…。
「大丈夫だって!ほら、早く入ろう。」
「ふぇっ!?」
僕は桃くんに引っ張られながら入店した。