ゾロル
□密かな愛
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密かな愛
★☆★
この気持ちは隠しておこうと思っていた。
ルフィの横にいるために。
なのに、最近はどうも気持ちがうずく。
ルフィとあのクソコックが見つめ合っている事が多いのに気づいたからだ。
ルフィは皆を心から信じていた。
大好きだ。
だが、恋や愛ではなかった。
だから、穏やかな気持ちでいられた。
穏やかな気持ちで彼を見つめることができた。
誰かをもしもルフィが愛したとき、きっと俺は狂うだろう。
「なぁ・・サンジ・・・」
食後だというのに元気のないルフィの声音に、
サンジはいよいよきたのかとため息をついた。
皿を洗っていた手を止める。
「どうした、ルフィ」
「俺、どうしよう・・・・俺・・・。
ゾロを好きみたいだ」
ピクリとサンジの眉が動く。
やっぱりな・・・タバコに火をつけ、ゆっくりと紫煙をくゆらす。
この頃、ルフィは甲板で眠るゾロを切なげに見つめていた。
愛しそうに。
いつもルフィを見ていたからわかる。
ルフィはゾロを愛しているのだと。
何かを言いたげに自分を見つめる瞳には同じように愛はない。
ただ、何かを聞いてほしげに見つめてくるだけだ。
「・・・それで?」
「もう俺、どうしたらいいのかわかんねぇ・・・」
これはチャンスではないのか。
ゾロの気持ちを勝手に偽り、自分が入り込む。
だめだ・・・いけない。
きっと、そんなことをしてもルフィは幸せではない。
「きっと、ゾロはお前が好きだよ、ルフィ」
「え・・・」
「お前のことを想ってる。もしも、もしもそれが違えば、
俺のところへこい。俺がお前を愛してやる」
「サンジ・・・?」
ニッと笑うサンジをルフィが茫然と見つめる。
「俺の言うことを信じろ。お前を俺はずっと見つめていた。
お前の視線の先に、アイツがいたことも知っていた。
アイツがお前を見つめていたことも・・・」
「サンジ・・・」
「お前へのアドバイスの料金はキス一つだ。
・・・・俺だっておめぇが好きなんだぜ?」
最後だ。
これで最後。
これで忘れる。
でも、クソマリモ・・・もしもこいつを泣かせることがあれば、
その時は俺がルフィを愛してみせる!
「ありがとう・・・サンジ」
そっと、温かいルフィの手がサンジの頬に触れる。
唇が触れる。
温かくて、柔らかい。
もっと深く繋がりたい気持ちを必死にこらえる。
おそるおそると触れる唇に全身が歓喜に震えた。
唇が離れると同時に、冷たい空気が虚しくサンジの唇に触れる。
「!・・・・クソマリモ・・・」
「!!!」
サンジの驚愕の言葉に、ルフィが恐る恐る振り返ると、
そこには扉の前で固まるゾロの姿があった。
「お前ら・・・やっぱり・・・」
「ちが・・・ちょっ、サンジ!なにす!」
ゾロに真実を告げようとしたルフィを背後からサンジが抱きしめる。
「『やっぱり』?お前、やっぱ気づいてたんだ?
俺らのこと」
「・・・このグル眉がぁ・・・」
「てめぇにゃ関係ねぇだろ。・・・もしかしててめぇルフィのこと」
「あぁ!好きだよ!愛してる!!ルフィだけを愛してる!!」