* いろいろ *
□ * 拍手小話集 @ *
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* すき *
昨夜は隊長格ばかりの飲み会で、断りきれずに酔わされたキミをいつもの如くお持ち帰り。
そんな魔法の力を借りた今朝は、キミが腕の中で目を覚ます。
でも、やっぱりボク達はナカマでドウカク。
どんな魔法もどんな奇跡もボク達には関係ない。
ちょっと怒った顔で死覇装に袖を通す、いつもの態度。見慣れたキミ。
こんな行きずりみたいな関係から、今日こそ昇格したいんやけど。
うーん。どないしたらええんやろ。
そぉや。たまには真正面からいってみよか。
「なァな、日番谷さん」
二日酔いと抱き合った後の鈍痛に耐えるキミに、悩める言葉をあげようか。
「ボクんこと、好きんなって?」
翠のお目々をまん丸に、ぽかんとボクを見上げるキミ。
まだ肌蹴た胸元の赤い華と、あどけない表情のミスマッチが扇情的。
でもすぐに、いつもの不敵な顔に戻って………って、アラ?
目の前のキミは、「バカじゃねぇの?」と呆れるどころか大きな目を見開いて、その後ぱっと顔を逸らした。
「ちょ、日番谷さん…?」
そのまままごそごそと身支度を整えて、今にも立ち去りそうなキミの姿にはっとボクは我に返る。
あかん、呆けとる場合やない。
膝立ちんなって細い腕ごと背後から抱きこむと、暴れる身体を離してなるものか、とぎゅーっと抱きしめた。
「ちが、ごめん、日番谷さん。言い方間違えたわ」
ほんまは間違えてへんのやけど、この様子からして言ってはならん事を言ってしもたらしい。
でも、頭をフル回転させれば弾き出される答えはひとつ。
ボクが解ってへんかっただけ。
抵抗を止めて俯くキミは、珍しくも泣きそうな顔。不謹慎やとは思うけど、耳まで真っ赤でえらく可愛え。
せやから、その耳元で、そぉっと。
「日番谷さんのこと、好きや」
腕の中の身体が、びくっと跳ねた。
緊張か、恥かしさか。熱が出たみたいに全身がどんどん熱くなってきて。
キミがあんまりにも可愛え反応するもんやから、ボクまで熱が出てしもて、それが何だかおかしくて。
「好き」なんて大した言葉やないのにな。
キミにだと思うとこんな凄い言葉に変わってまうなんて、吃驚や。
欲しかった言葉を強請るように、耳にもこめかみにも口付ける。
余裕に見えるかもしれんけど、ほんまはじっとしてられへんだけや。
昨晩は酔ったキミにあれやこれやとしてしもたんに、こんな言葉ひとつきちんと待てへんなんておかしいわ。
「……」
ぽつん、とボクの腕の中で、噴火寸前のキミが呟いた。
「なに?」
“もうちょい大きい声で”
お願いに、キミがとうとう火を噴いた。
「…今更だろッ」
大事な言葉は一度だけ。
それきり口を閉ざしてしもた。
まぁええか。聞こえんフリはも一度言うて貰うための口実やしな。
「うん」
にっこりと笑えば、キミが両手でボクの夜着をぎゅう、と握る。
その意味は、
照れ屋なキミの愛情表現。
- オワリ -
馴れ初めは酔った勢いシリーズ市丸自信なしバージョン(笑)
前回はひつんが不安になったので今回はニブ丸で。
ふたりとも別人…;
ご来訪ありがとうございます^^
2008/7/2 ユキ☆
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