アイツを、傷つけた。
気が付いた時、しまったって思ったんだ。
いつも得体の知れない笑みを浮かべているくせに、その時は、ほんの一瞬だけど表情が崩れたんだ。
すぐ様いつもの顔に戻って「ひどいわぁ」と笑ったけど、俺は気が付いちまった。
…傷ついた、って顔しやがった。
でもそれに俺が気が付いたことを、アイツは解ったんだろう。
だから笑って見せる。
…馬鹿みてぇ
そんなんに騙される程、俺は子供じゃねぇよ。
でも「ごめんなさい」って言えずに「ばーか」と返してしまう俺は、やっぱりアイツに護られているコドモなんだ。
勇気を出せ。
素直になれ。
アイツの優しさに甘えるな。
この温かな日々を、終わらせない為にも。
「…ゴメン」
小さな声になっちまったけど、届いたかな?
目を伏せてたアイツが、こっちを見た。
相変わらず細目で、何処見てるのか解んねぇ。
だけど、いつもの笑みが少し柔らかく思えるのは、俺の気のせいじゃねぇよな?
「うん」
髪を撫でる手が暖かい。
少しの勇気で、お前が優しく笑ってくれるなら。
この優しい時間が続くなら。
出来るだけ素直になろう。
そう思った。
- オワリ -
名前が出て来ませんので、一応。ギンヒツです^^
2007/08/12 ユキ☆